日本ハムが投打がかみ合わずオリックスとのカード初戦を落とした。初回に先制されたが、2回にすぐさま逆転。ここまでは良かったが、得点した直後に失点するパターンが続き、追いつけずじまい。3、6回に田中賢介内野手(34)が失点につながる2失策、6回には代打出場の大谷翔平投手(21)が敬遠で一塁まで行かずベンチに戻る勘違いを犯した。精彩を欠く内容で、首位ソフトバンクとの差が6ゲームに開いた。

 まとわりつくような悪い後味だった。5週間連続での6連戦がスタートした、節目の日。勢い十分に乗り込んだ猛暑の敵地で、緩んだ。栗山英樹監督(54)は敗因の詳細は省いたが、すべてを表す敗戦の弁があった。「やることをやらないといけない」。

 未遂に終わり、記録にならないボーンヘッドも飛び出した。6回に1点差に迫り、なお2死二塁。一打同点で、代打起用された大谷だ。後半戦は初の野手起用、初打席。敬遠策。代走・岡が投入された。大谷はなぜか、一塁ベースを踏むことなく三塁側ベンチへ帰ってしまった。ベースへ到達しないまま、試合再開なら走塁放棄でアウト。慌ててグラウンドへ戻り、一塁ベースを踏み直した。敵地ファンもあっけに取られた、珍プレーだった。

 オリックス福良監督代行は抗議し、審判団が協議。敬遠四球が成立した時点でボールデッド。その直後、オリックスは3番手・岸田へスイッチ。投球練習でボールデッドの時間が長く、気付くための幸運なタイムラグもあった。事なきは得たがインプレーとなれば2死一、二塁と広がったチャンスを、つぶす恐れがあったミスだった。「特に変わりないです」。大谷は打撃の状態を話しただけで、足早にバスへ乗り込んだ。結果的に逸したが同点のチャンスを自ら逃してしまうかどうか、紙一重だった。

 前カード西武に3連勝。成長気配を見せていたソフトバンク追撃の芽は、少ししぼんだ。首位とは、また今季最大6ゲーム差へ。大谷が上げ潮ムードを完全に壊す一時停止の元凶になることはだけは、回避した。結果論だが、救いだった。【高山通史】