阪神上本博紀内野手(29)がヤクルトの絶好調男、山田の変則3冠(打率、本塁打、盗塁)を阻止する挑戦者になる。甲子園で行われた指名練習に参加した上本に、勝負をけしかけたのは和田豊監督(52)だ。「ガンガン走ったらいい」と積極的な走塁を勧める。今季は16盗塁。30日の広島戦で20盗塁目を決めたトップ山田とは4個差の射程圏内。攻撃的に走ることで逆転は可能だ。

 和田監督も「開幕から言い続けている。本人のなかで気持ちが乗ってこないのは出塁率や打率とか、塁に出る回数がもっと増えてこないと。アイツには盗塁王を取るくらいのね。数的にはチャンス」と説明する。前日29日中日戦も2度二盗を仕掛けて1盗塁も1盗塁死。塁上で積極的な姿勢を示すが、打率は2割4分1厘で、出塁数の少なさが課題になっている。

 自己最多の14年20盗塁の更新は確実だが、ターゲットは阪神勢では05年赤星(60盗塁)以来の盗塁王だろう。得点圏に進んだ証しである個人記録はチームの勝敗に直結。指揮官も「チームに貢献するスチールが一番だけど、走るのはそこだけじゃない。アイツが出ることで走って、走ると配球も変わってくる」と、果たすべき役割を示す。塁上で相手投手をかく乱する役回りとしても期待されている。

 積極果敢に走るためにも打撃面での復調が欠かせない。和田監督も「1回失敗したあと、次に塁に出るまでに時間がかかると、また窮屈になってしまう」とリズムの悪さを指摘する。間髪入れずに次の塁を狙え。安定感のあるクリーンアップ&イキのいい江越がいまの打線を引っ張る。上本が盗塁数を順調に増やせば、攻撃のバリエーションは格段に増える。【酒井俊作】