さあ、世界記録に挑戦だ。球界最年長の中日山本昌投手(49)が3日、1軍に合流した。早ければ6日DeNA戦(ナゴヤドーム)に先発する見込み。勝利すれば、ジェイミー・モイヤー(元ロッキーズ)の49歳180日を抜く、最年長勝利の世界記録になる。今月11日に50歳の誕生日を迎えるレジェンドが、世界のマサになる。

 ついに山本昌が1軍にやってきた。真っ黒に日焼けした背番号34が、ナゴヤドームで行われた投手練習に参加した。屋外駐車場で山井とキャッチボールし、隣接する走路では巨体を揺らして黙々とダッシュメニュー。「夏の方が体が動くことは毎年のことだから」。気温36度。照りつける太陽を浴びながらも49歳は驚くほど元気だ。

 「ケガしたときは重くないと思っていたけどね。焦る時期もあったけど、絶対に治るんだと準備してきた」。開幕前の教育リーグで今季初登板のマウンドに上がったが、右膝を痛めて1球で降板。いきなりつまずいた。それでも地道にリハビリを続けて6月の2軍戦で実戦復帰。7試合で1勝1敗、防御率2・36と安定した成績を残した。

 勝てば「マサ・ヤマモト」の名前が世界に発信される。昨年9月5日の阪神戦(ナゴヤドーム)で49歳25日にして白星を挙げ、最年長勝利のプロ野球記録を64年ぶりに更新した。今年は勝利した時点で12年ジェイミー・モイヤー(当時ロッキーズ)が記録した49歳180日を抜く。世界記録だ。

 だが、山本昌はその話題を笑顔で受け流した。「もちろん、みんなが言うから気にはするけど、それだけのためにやってるんじゃない」。2軍調整中も最下位に沈む1軍が気になってしょうがなかった。「このままで終わらすわけにはいかない。ちょっとしたことで流れは変わる」。元気すぎる中年の星が、竜の起爆剤になる。【桝井聡】

 ◆今季の山本昌 3月3日の教育リーグ・ソフトバンク戦(ナゴヤ)に今季初登板も、1球目の直球を投げたところで右膝に異変を訴え、緊急降板。右膝蓋(しつがい)靱帯(じんたい)炎と診断された。5月16日にブルペン投球を再開。6月18日のウエスタン・リーグ阪神戦(鳴尾浜)で約3カ月半ぶりに実戦復帰した。

 ◆メジャー年長勝利 最年長記録は左腕ジェイミー・モイヤー(元ロッキーズ)の49歳180日。12年5月のダイヤモンドバックス戦でマークした。歴代2位は32年にジャック・クイン(ドジャース)が救援で記録した49歳74日。同3位は87年フィル・ニークロ(インディアンス)の48歳110日。