越えられない試練はない! 阪神は今日4日広島戦から真夏の長期ロードが始まる。混セの行方を左右する正念場。ルーキー江越大賀外野手(22)が、初体験のロードで結果を出し、チームに活力を与える決意だ。相手のマークが厳しくなり、ここ3戦はノーヒット。壁を越え、レギュラー定着へ。江越の成長が、虎の勢いになる。

 午後4時。1人の若虎が表情を引き締め、蒸し暑い新大阪駅にさっそうと現れた。今日の広島戦から始まる7カード21試合に及ぶ未知の長期ロード。江越は、旅立ちの前に気持ちをリセットするように、自分の現在地を冷静に分析した。

 江越 (あの3連戦は)引きつけて自分のポイントで打てていなかった。

 ルーキーが反省したのは、前日2日までのヤクルト3連戦(甲子園)だ。3試合ともスタメン出場しながら、12打数無安打5三振。特に1日は、3打席連続で外角低めの変化球に空振りの3球三振。相手バッテリーの徹底した低めボール球攻撃。持ち味の力強い打撃は鳴りをひそめた。

 江越 相手も考えている。例えばインコースを見せて外に変化球。当然そういう配球になってくるだろうし、しっかり対応していかないといけない。

 それでも指揮官は、この経験が江越の成長につながることを期待。今後の起用続行もにおわせている。

 和田監督 (糧に)しないとダメだよな。誰もが経験することだと思うからね。相手がマークしてくる選手だと思うから。いろんな経験を積んでほしい。

 江越には見過ごせないデータが存在する。今季はここまで78打数13安打の打率1割6分7厘だが、2ストライクに追い込まれると50打数でわずかに1安打。打率は2分まで落ち込んでしまう。三振の数も30を数え、一見すれば不穏な数字に見える。しかし、裏を返せば追い込まれるまでは28打数12安打の打率4割2分9厘。本塁打も全4本放っている。江越の持ち味は積極性とフルスイング。その持ち味を存分に発揮すれば、好結果は必然的に生まれるわけだ。

 今日対戦する広島の先発はチームが3戦2敗と苦しむ黒田だ。江越自身も、前回対戦の6月23日(長野)には空振り三振を喫したが、ひるまず挑む。

 江越 真っすぐが速い。ボールも動かしてくるので、遅れないように。しっかり振り負けないようにしたい。

 江越も、ロードに挑む虎も、もがきながら前に前に進むしかない。試練を乗り越えた先に栄光がある-と信じて。【梶本長之】

 ◆阪神新人野手の長期ロード 80年岡田彰布(早大)は、16試合に出場し、打率4割3厘、3本塁打、8打点の大当たり。8月16日巨人戦(後楽園)からロード終了の同25日大洋戦(横浜)まで8試合連続安打。打順もロード前の7番から5番へと昇格し、新人王への足場を固めた。近年では鳥谷(早大)が、ロード19試合中18試合に先発出場。アテネ五輪に参加した藤本敦士の穴を埋める、期間中打率2割7分4厘と健闘。アピールに成功した。