代打でダメ押し弾! 日本ハム大谷翔平投手(21)が、5点リードの8回無死、右中間に4号本塁打を放った。5月19日楽天戦(コボスタ宮城)以来の1発で、本拠地では今季初アーチ。投手で今季2敗目を喫した4日ソフトバンク戦の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのような、2年ぶりの代打本塁打だった。チームは連敗を4で止めた。

 大谷が大きなストライドで4つの塁を踏みしめた。「久しぶりでしたし、札幌ドームで打てていなかったので」。8回、代打で打席に入り、サブマリン加藤の122キロ直球に反応した。「詰まっていた」という感触とは反比例し、舞い上がった打球は右中間スタンドまで届いた。5月19日楽天戦(コボスタ宮城)以来の第4号は、札幌ドームでの今季初アーチだった。

 後輩たちの姿に、闘志が刺激された。この日は早起きして、午前8時開始だった母校・花巻東の初戦突破をテレビで見届けた。「励みになります。(自分は)甲子園で勝てなかった。1勝もできなかった人からしたら、うらやましくもある」。3年間の青春を白球に込める、最後の夏の戦い。自身の苦い記憶をたどり、心は原点へと返った。

 3日前の夜。首位ソフトバンクとの3連戦初戦を託され、自己ワーストタイの7失点でKOされた。チームの歯車は狂った。自らの黒星から3連敗。無抵抗のまま、優勝マジック点灯を許した。「負ければ個人的には(悔しさが)ありますし、悪い流れだったのは、みんなが気にしている」。挽回するには、グラウンドで借りを返すしかなかった。福岡からの移動試合で、試合前の打撃練習もなかったが、代打で巡って来るであろう1打席に、賭けていた。

 スタンドには両親も駆けつけていた。栗山監督は「まだ(打率)1割台」と厳しく突き放すが、物足りない思いは、大谷本人が一番感じている。「もっといい場面で打てるように。今の状態を継続して、1打席1打席頑張るしかないです」。ゲーム差は引き離されたが、野球はときに奇跡的なドラマを起こす。【本間翼】