ネイル、ネイラー、ネイリスト! オーストラリア出身で7月に契約した中日の新外国人ドリュー・ネイラー投手(29=四国IL・香川)が8回4安打1失点と好投し、2度目の登板で初勝利を挙げた。4回には右中間にプロ1号を放ち、バットでも勝利に貢献した。新助っ人の活躍は最下位に沈む中日にとって最上級の明るい話題だ。

 助っ人右腕の打球に、ナゴヤドームの誰もが目を丸くした。4回だ。1死からヤクルト古野の外角変化球をフルスイング。ふわりと舞い上がった打球が右中間最前列にある黒色のラバーに飛び込んだ。打った本人が「自分が一番ビックリ」と言うプロ初安打、初アーチ。一塁ベースを蹴ると思わず両手を突き上げた。

 ネイラー スムーズなスイングを心がけた。2Aで3本のヒットを打ったことはあるけど、プロでは初めて。初ヒットが初本塁打なので夢のようだよ。

 “本職”でも気合十分だった。1回に先頭の比屋根に中前打を許し、続く川端には四球。バッテリーミスも絡んで1死一、三塁から畠山の犠飛で先制点を許した。だがここから「インサイドに強気でストレートをどんどん投げた」と切り替え。制球力を発揮して、2回以降は無失点で乗り切った。

 ジャパニーズドリームをつかもうとしている。06年フィリーズと契約を交わしたが、度重なるケガでメジャーのマウンドに上がることはできなかった。それでも28歳で「自分を信じてチャレンジしようと思った」と日本へ。独立リーグの四国アイランドリーグで結果を残し、念願だったNPBに挑戦した。

 中日に入団する前には09年WBCのチームメートであり、日本の独立リーグ→NPBと同じ道をたどってきたヤクルト・デニングに相談した。この日、デニングとの対戦成績は2打数1安打。「今日は引き分けだね」と、うれしそうに再会を喜んだ。

 初登板だった1日巨人戦でも6回2失点と好投し勝ち投手の権利は持っていた(救援が打たれて逆転負け)。わずか2試合目でウイニングボールとホームランボールの2個を手にした。ネイラーは「ウイニングボールはお母さんに渡したよ」と、記念球は試合を見守った家族にプレゼント。笑顔が似合うナイスガイが、真夏のナゴヤドームを明るくした。【桝井聡】

 ▼新外国人投手ネイラーが1号本塁打を放った。中日投手による本塁打は13年4月21日DeNA戦(横浜)に山内壮馬が打って以来。本塁打を打った試合で勝利投手となったのは、05年7月29日巨人戦(東京ドーム)での川上憲伸以来、10年ぶり。捕手の桂も本塁打し、同じ試合でバッテリーがそろって本塁打は中日では02年7月30日巨人戦(東京ドーム)4回、谷繁捕手とバンチ投手が2者連続で放って以来、13年ぶり。

<ドリュー・ネイラー アラカルト>

 ◆生まれ 1986年5月31日、オーストラリア出身。

 ◆球歴 06年フィリーズと契約し、ルーキーリーグなどでプレー。メジャー経験はなし。09年WBCのオーストラリア代表。

 ◆手術 11年に右肘手術。13年右肩を手術し、昨年は母国の国内リーグに所属。今季は四国アイランドリーグ香川でプレー。11試合に登板し4勝1敗2セーブ、防御率1・37の成績でチームの前期優勝に貢献。

 ◆年俸 7月に中日と推定1250万円で契約。

 ◆趣味 海岸散歩、映画鑑賞。

 ◆好物 カレーうどん。

 ◆サイズ 196センチ、105キロ。右投げ右打ち。