若様から昌様へ! 中日は若松駿太投手(20)の7回1失点の好投で連勝を飾った。前回巨人戦のプロ初完封でチームの連敗を8で止めてから中5日。今度は中日に約1カ月ぶりの連勝、7カードぶりの勝ち越しをもたらした。今日9日には50歳目前のレジェンド山本昌が今季初登板。注目の大一番へ、最高の形で若武者がバトンをつないだ。

 ベンチで握手を済ますと出迎えの最前列へ。勝利の儀式にもすっかり慣れた。「絶対にやり返す気持ちでした。1試合1試合必死にやるだけ。投げさせてもらうところでベストピッチをするだけですから」。5勝目にも浮かれたせりふを口にしようとしなかった。

 ヤクルトには7月26日の対戦で4回7失点と打ち込まれていた。調子のよかったスライダーを多投するなど配球を変えて対応した。前回、3人で計4安打5打点を許した川端、山田、畠山には細心の注意を払い、無理な勝負は避けた。走者を背負わなかったのは7回の1度だけ。「大けが」を避け、勝利への最短距離を探った。そして最少失点という結果を残した。

 6月のプロ初勝利に始まり、約2カ月でとんとん拍子に5勝。先発ローテで最も安定感のある投手に成長した。谷繁兼任監督は「(完封した)東京ドームのときより思ったところには投げられていなかったけど、それでも試合を作った。そこが成長しているところ」と粘投をほめたたえた。

 チームを久しぶりの連勝に導き、最高のムードで29歳上の山本昌の注目マウンドにつなげた。お立ち台では、今季最多3万7945人のファンに向け「明日は山本さんが必ず勝つと思います!」と予告した。

 友利投手コーチは「僕もわくわくしている。元同僚でもあるし歴史的な瞬間に立ち会えるんだから。大きな花を咲かせてほしい」と話し、森野が「49歳最後の登板。援護したい」。ルナも「伝説の選手と同じチームで試合に出られるのは光栄。勝てるように努力する」と腕まくりした。

 若松の力投で、チーム全体に“伝説”を後押しする雰囲気ができ上がった。最下位に沈む中日でベテラン勢の大記録ばかりが注目されるシーズンになっているが、明るい話題を提供し続ける20歳の存在感は特筆ものだ。【柏原誠】