本物の守護神へ-。広島中崎翔太投手が10日、23歳の誕生日を迎え、誓いを新たにした。これまで17セーブを挙げ防御率3・23。まだ不安定な部分こそあるものの、ストッパーとして信頼を得ようと必死で腕を振る。目標は優勝に貢献することだけ。そのためなら毎日でも投げる。

 マウンドで作る鬼の表情とは違い、中崎は優しい表情のまま言葉を並べた。ここまで45試合に登板し0勝5敗17セーブで、防御率は3・23。開幕当初、ヒースの不調で回ってきたストッパーの役割に四苦八苦しながらも、懸命に仕事をこなしている。だが、本人の口から出るのは反省の言葉ばかりだった。

 「チームに迷惑を掛けているのは数字を見ても明らかなので。とにかく今は、言われたら全部投げるし、なんとかチームの力になりたいと思っています。年も1個増えるので」

 謙虚に言葉を並べたのは5敗の重さを感じているからだろう。5月には本拠地にもかかわらずブーイングを受けたこともあった。プレッシャーは計り知れない。守護神を務めた小林投手コーチが「たった3人、抑えて当たり前だと思われる。でもそうじゃない。ものすごいなかでやっている」と代弁する。

 7日からの東京ドーム3連戦では3連投。第1戦に巨人片岡に頭部死球を与えて退場になったが、第2戦は走者を出しながらセーブを挙げ、第3戦は3者凡退で締めた。防御率も5点台から3点台前半まで落ち着いてきた。だが中崎は「どこのポジションでも慣れはないと思っている。同じ状況はないし、慣れることはないです」。気をつけているのは慣れとは違う次元での「同じことを繰り返すこと」。同じリズムで集中力を上げることを心がける。

 20セーブを挙げれば、広島の日本人では永川以来となる。だが中崎は数字を目指す余裕もなければ、つもりもない。今は優勝に向けたピースになろうと腕を振る。「やりがい? 今はとにかく必死。野球人生が終わったときに思うことかもしれません」。23歳の中崎はひと味変わる。「足を引っ張った分、貢献しないといけない」。3連勝中のチームは今日11日から本拠地6連戦を迎える。上位進出のため、中崎は毎日マウンドに上がるつもりだ。【池本泰尚】