ベテランが攻守の活躍で連敗を5で止めた。楽天松井稼頭央外野手(39)が4回に10号ソロを放ち、先制。その1点を、投手陣が守りきり、4日以来の白星を挙げた。本塁打直前の4回表の右翼守備では1死一、二塁から大飛球を好捕し、先発辛島をサポート。外野手転向1年目ながらファインプレーを披露した。やっぱり頼りになる男だ。

 コボスタ宮城に一陣の風が吹いた。4回、松井稼の守備だ。1死一、二塁。ロッテ井口の放った打球は鋭い放物線を描き、右中間へ。抜ければ長打コースという打球に迷いなく、最短距離で、右翼守備の松井稼が走り寄った。背走し、まさにここしかないというタイミングでグラブを伸ばし、捕球。体をフェンスにぶつけながら、中継へ送球した。飛び出した一塁走者クルーズが帰塁できない素早さで併殺が完成。「必死です」と振り返ったが、冷静な判断が危機を救った。

 今季から外野手に転向したが、守備の名手は外野でも名手だ。中堅手としてコンビを組み、連続守備機会無失策の日本記録を持つ聖沢は証言する。「1年目の外野手ではない。打球判断、足の速さ、野球センスの塊です。カバリングに気を使う必要もないし、べらぼうにうまい右翼手だと思います」。持ち前の運動能力を外野というポジションで発揮し、チームに貢献している。

 守備の次は打撃でも魅せた。ビッグプレー直後の4回裏の攻撃。1死走者なしで打席に入ると、ロッテ石川の142キロ直球を完璧に捉えた。ライナー性の打球はあっという間に右翼スタンドへと突き刺さった。「うまく体が反応してくれた」と今季10号となる先制ソロは、決勝点になった。「いつも打つ方ではピッチャーに迷惑をかけているので」と控えめに喜んだ。

 攻守に好調なのは理由がある。「自分は走ることでリズムを作れる」と常々口にしている。外野守備で走り、その裏の攻撃が生み出した。衰えることのない足とパンチ力。この日は家族も観戦に訪れ、格好いいパパの姿も見せることができた。「打てて良かった」と話す39歳は家族だけでなく、チームにとっても頼りになる大黒柱だ。【島根純】