“第2の武器”が決まった。巨人高木勇人投手(26)が、中日を相手に7回5安打無失点で約1カ月ぶりの8勝目を挙げた。東京ドームでの勝利は、実に5月3日以来。久々のお立ち台では「何を言っていいか分からなくて『僕は僕です』と言ってしまった」と、思わず決めせりふに頼ってしまった。

 マウンドでの頼みの綱はフォークボールだった。スライダーとカットボールの中間軌道である「高木ボール」が代名詞。名をはせた球種ではなく、フォークを勝負球に選択した。2回無死一、二塁、打者森野が数少ないピンチ。カウント2-2から落とし込み、バットに当てさせなかった。

 鋭く落ちるフォークは「高木ボール」以上に自信を持っている。春季キャンプで相川に受けてもらった。投げ込みが終わり相川から得意な球を聞かれ「フォークです」と即答した。切れ味抜群だったカットボールと返事がくると思いきや、違う球種の返答に、相川は不意を突かれた。

 社会人時代からキレを磨いてきた。三菱重工名古屋ではリリーフを任されていた。得点圏に走者がいる場面での登板が多く、バットに当てられることも許されなかった。そこで頼っていたのがフォークだった。練習でも多くの時間を費やし磨き上げた。その成果が、負けられない大事な1戦で発揮された。「前回から(フォークは)継続して良かった」と胸を張った。

 高木勇の好投で、連敗を5で止め、2位ヤクルトとのゲーム差をなしとした。「反省する部分はまだある」と目標は高い。原監督も「先発ローテを守って立っている姿に強さを感じる」と称賛も、フォークについては「まだまだ精度が出る」とレベルアップを期待する。新たに加わった「高木フォーク」。2つの球種を武器に、シーズン終盤を投げ抜く。【細江純平】