楽天の次期監督に星野仙一シニアアドバイザー(SA=68)の復帰案が浮上していることが29日、分かった。この日までに大久保博元監督(48)が今季限りで辞任する意向を固めたことが判明。三木谷浩史オーナー(50)の介入が取りざたされるなど現場が混乱する中で、球団を日本一に導いた闘将の復帰を望む声が上がっている。14年に退任の原因となった健康面の問題も改善しており、星野SAは有力候補になりそうだ。

 緊急事態を救うため、星野SAに再登板の可能性が出てきた。次期監督について球団関係者は「星野SAも含めて、あらゆる可能性がある」と否定しなかった。球団側は大久保監督続投の方針を持っていたが、急きょ次期監督の選定を始めた。しかし今季は三木谷オーナーの現場介入が取りざたされ、球団のイメージが悪化。球団関係者は「次のなり手は手を挙げづらい状況」と現状を説明する。

 そこで星野SAだ。11年に楽天の第4代監督に就任すると、13年には球団を初の日本一に導いた。ファンの人気、育成の手腕、絶大なカリスマ性。また三木谷オーナーにはっきりと進言できることから歓迎ムードが高まっている。14年に勇退した際も契約は2年残っており、今季からSAに就任。球団を大局的に見て、助言を送っている。チーム内からは「この状況を収束できるのは星野さんしかいない。選手のことも分かっているし、戻ってきてほしい」との声が上がる。

 懸念されている健康面も改善している様子だ。14年のシーズン途中に椎間板ヘルニアと胸椎の黄色靱帯(じんたい)骨化症を発症。休養し、その年の退任へとつながった。しかし休養期間中に手術を受け、回復。今年は東京、仙台、大阪を移動し、精力的に仕事をこなしている。4月にはNHKの「サンデースポーツ」でマンスリーキャスターを務め、26日には甲子園で行われた高校日本代表対大学日本代表の試合を視察。早実・清宮幸太郎内野手(1年)を絶賛し、「ああいうのを育てないといかん」と球界の発展を考えている。

 球団は今後、来季に向けた組閣を急ピッチで行っていく。その中で星野SAは有力候補となりそうだ。2年連続で監督交代という非常事態に、闘将が再びユニホームを着る可能性が現実味を帯びてきた。

 ◆星野仙一(ほしの・せんいち)1947年(昭22)1月22日、岡山県倉敷市生まれ。倉敷商から明大を経て68年ドラフト1位で中日入団。82年引退まで通算成績は500試合146勝121敗34セーブ、防御率3・60。74年最多セーブ、沢村賞。87年中日監督に就任。中日で88、99年優勝。02年阪神監督に就任し、03年優勝。03年に勇退し、シニアディレクターとしてフロント入り。08年北京五輪で日本代表監督を務め、3位決定戦で米国に敗れた。11年楽天監督に就任し、13年球団初優勝、日本一に導く。14年監督を退任し、シニアアドバイザー就任。