日本ハムが延長12回、4時間49分、野手をすべて使い切る総力戦の末、ソフトバンクと引き分けた。首位との直接対決3連戦は1勝1敗1分けで、カード連続勝ち越しは6でストップ。ゲーム差を縮められず、ソフトバンクの優勝マジックも「18」に減ったが、栗山英樹監督(54)はドローへと持ち込んだ粘りを評価。直接対決はまだ7試合あり、再戦へ向けて手応えも感じていた。

 追い求めていた姿があった。ゲーム差は縮まらず、ソフトバンクの優勝マジックは1つ減った。それでも栗山監督は、手応えを感じていた。「本当は勝たなきゃいけないんだけど、追いつかれてから、よくみんな我慢した。必死になっている中で、ウチらしさみたいなプレーがいっぱいあった。(マジックが)1つ減ったけど、『オレたちはやれる』と思ってくれるなら…」。価値あるドロー。チーム力が高まった実感が、うれしくもあった。

 8、9回は3連投となる白村が「0」を並べた。10回は柳田に対し、宮西をワンポイントで投入。イニング途中から守護神・増井をつぎ込んだ。最終12回は、一時的に配置転換されている浦野が三者凡退で試合を締めた。同監督は「緊張感を持って戦うことで成長できる。そういうプラスも考える」。脳裏によぎったのは、第6戦までもつれ込んだ昨年のCS。若い選手たちが1試合ごとにたくましくなった、あのときと同じ空気がベンチにはあった。

 9回1死二塁の好機には、杉谷が果敢に三盗を試みるなど、積極的に、ガムシャラにチャレンジした。右足首を痛めている中田、「二刀流」大谷も代打で出場。登録されている野手をすべて使い切った。

 直接対決が7試合残っているとはいえ、逆転優勝を実現するには、球史に残るような驚異的な連勝を伸ばすしかない。移動便が迫っていたため、シャワーも浴びずにバスへと乗り込んだ栗山監督は「マジックが0になるまで、ウチは諦めないでやっていく」。状況は苦しいが、チームに絶望感はなかった。【本間翼】