吉兆の地で巨人を倒す。ヤクルトは8月31日、新大阪から特急列車で金沢を経由し、新幹線で富山入り。今日1日の巨人戦に先発予定の石川雅規投手(35)ら一部の投手陣が、富山市民球場で練習を行った。92年に建設された同球場でのチーム戦績は、過去7戦で5勝2分け。22年間負けなしと、相性の良さを示している。ゲーム差なしの3位につける巨人をデータ通り、片付ける。

 石川は「僕が中学生のころかな。よく覚えていますよ。テレビで見ていたのかは忘れたけど」。壮絶な死闘で始まった同球場の歴史を目にしていた。93年6月8日。チームにとって、初めての同球場での試合は巨人戦。両軍入れ乱れる乱闘騒ぎの中、勝利をもぎ取った。選手として在籍していた高津投手コーチは「一番印象に残っている試合だね」と懐かしんだ。

 当時は少年だった石川が不敗神話を更新する。前回登板の8月25日の巨人戦は、志願の中4日。気迫の投球で8回途中を2失点で8勝目を手にした。チームにとって縁起のいい場所での登板となるが、「数字とかは気にしない。残り20試合くらい。1つの勝ちと1つの負けが大きく左右する。結果にこだわりたい」と顔を引き締めた。

 真中監督も「チャレンジャー精神でやっていく。まだ(シーズンも)先はある。今まで通りやっていく」と冷静を貫いた。だが、好データに乗っからない手はない。逆転優勝に向けて負けられない一戦。首位阪神とも、ゲーム差1の好位置につける中、吉兆の球場で勝利を飾る。【栗田尚樹】