プロ初適時打で逆転を呼び込んだ。楽天北川倫太郎外野手(22)が4回に勝ち越しの二塁打を放ち、オリックスに勝利。1軍出場10試合目にして待望の適時打でチームに貢献した。6回にも右前打で2度目のマルチ安打もマークし、大久保博元監督(48)は同点打の銀次内野手(27)に匹敵する好打者に成長すると期待した。

 初めてのお立ち台で、22歳の笑みがはじけた。北川は「たくさんの人がいて最高ですね! バッター有利のカウントだったので、思いっきり振ることだけを考えていました」。白い歯をのぞかせながら、勝ち越し打となったプロ初の適時打を振り返った。

 1点を先取された直後の4回裏だった。銀次の右中間二塁打で同点に追いつき、犠打を挟んで1死三塁。勝ち越しの絶好機で打席が回ってきた。3ボール1ストライクからの5球目、高めの直球をしっかり引きつけて逆方向へ。「最低でも外野フライ」と念じた打球は鮮やかに左中間を抜け、チームを逆転に導いた。

 どうしても援護したかった。先発の則本は前回登板の8月25日、同じオリックス戦で7回を投げ、ソロ本塁打1発で敗戦投手となっていた。「本当に頑張って投げてもらっているのに、いつも則本さんの時に点が取れなくて」。絶対に打つ-。思いは最高の結果につながり、2人並んでヒーローとなった。

 先頭の6回には右前に単打も放ち、8月14日の1軍初出場から2度目の複数安打もマークした。プロ4年目。これからが伸び盛りだ。大久保監督は「オレからすると、プロに入って赤ちゃんからようやく幼稚園に入ったくらい。周りのマネをしたり、親に言われたことを一生懸命やってる段階。でも一生懸命やれるのが、リン(北川)の取りえなんだ」と目を細めた。首脳陣の助言を素直に聞き入れ、実直に振り続けた日々が、実を結びつつある。

 指揮官はこうも言った。「こういう子が伸びる。あと2~3年で、ギン(銀次)を抜くよね。ギンとリンで、いいライバルになってほしい」。侍ジャパンも経験した5番銀次と、ともに楽天打線を支えられる素質を感じさせた。親心を知ってか知らずか、北川はコボスタに集った1万3257人のファンの前で、こう宣言してインタビューを締めた。「これからも、どんどん打って打ちまくるんで。応援、よろしくお願いします!」。【鎌田良美】

 ◆北川倫太郎(きたがわ・りんたろう)1993年(平5)6月21日、大阪・堺市生まれ。小4から富木ロイヤルズで軟式を、鳳中では浜寺ボーイズで硬式を始める。明徳義塾では1年秋から4番に座り、春夏合わせて3度甲子園に出場。11年ドラフト5位で楽天入団。15年8月14日の日本ハム戦で1軍初出場を果たした。185センチ、82キロ。右投げ左打ち。