西武秋山翔吾外野手(27)は今季25度目の猛打賞で、球団のシーズン最多安打を更新する196安打をマークした。

 秋山がまた1つ、球史にその名前を刻み込んだ。6回1死一塁。柔らかいバットスイングで外角の139キロ直球を捉えると、強いゴロが右前へと抜けた。「鬼崎さんが一塁に出てくれたので一、二塁間が空いていた」。進塁打をと狙った冷静なチームバッティングが、今季194本目の安打を生んだ。「光栄です」。02年松井稼を抜き、西武で年間に最も安打を放った男となった。

 この1本で波に乗った。8、9回にも安打を重ね3安打。猛打賞は歴代3位の年間25回目、年間安打もプロ野球歴代単独8位の196に伸ばした。安打を放つ度に高まる周囲の注目。「正直に言えば、昨日球団タイ記録に並んだ時点でホッとした部分があった。その分、今日の入りに影響したのかも」。3打席目まで無安打と、3回までに6得点の味方打線に1人乗り遅れていた。それでも「1本が出て、気持ちが楽になった」と、終わってみれば打率を3割6分5厘に伸ばした。

 年間200安打、そして214本というプロ野球記録が眼前に迫っても、自分を見失わない強さがある。残りは16試合。「記録を意識していないといえばウソになる。でも自分のやることを見失ってはダメ。例えばフルカウントから強引に打つことは絶対にしない」。この日最初の安打も、状況を整理した上での一打だった。重圧を受け止め、目の前の仕事に徹する。「僕の中では200本へのカウントダウンじゃない。カウントアップなんです」。秋山にとっての記録とは、日々の仕事を積み重ねること。その集大成の瞬間が、刻一刻と近づいている。【松本岳志】

 ▼秋山が3安打を放ち、今季の安打が196本。シーズン196安打は歴代8位で、西武では02年松井の193本を抜く球団新記録。猛打賞は今季25度目となり、シーズン猛打賞回数は10年西岡(ロッテ)27度、96年イチロー(オリックス)26度に次いで3位。