西武高橋光成投手(18)が、ロッテを5回2失点に抑えて5連勝を飾った。高卒新人で5連勝以上は、チームの先輩松坂大輔(現ソフトバンク)が99年に6連勝して以来のことだが、5戦5勝は球団初。8月4勝で史上最年少の月間MVPに輝いた右腕は、楽天田中(現ヤンキース)や阪神藤浪もできなかった連勝をやってのけた。

 ピンチでも落ち着いていた。西武高橋光は5回、自らの暴投もあり2死満塁でデスパイネを迎えた。1発を許せば同点のピンチで、カウント2-2から低めにフォークを決め、浅い左飛に抑え役目を終えた。「1点もやりたくなかった。とにかく低めに投げて打たせて取ることを意識した。それはうまくできました」。持ち味の速球だけにこだわるわけではなかった。

 適応力がある。前回8月31日が雨の中での登板で、この日も雨模様だった。直球は140キロ前後で制球重視に切り替えた。宮地打撃コーチの目にも頼もしく映っていた。「スピードを若干落とし気味にしてコントロールしているように見えるのがすごい。四球を出しても、ポイントでは打たせて取るから守りのリズムも損なわない。シンプルに、18歳だから点を取ったらなアカン、というのもある」と、味方の信頼度はすでに高い。だからここまで5試合の援護点は9、6、7、15、9点だ。もはや偶然ではない。この日も2点を先制されたが、すぐ6点を奪って逆転してくれた。

 雨がやんだ3回には腕を強く振り、最速147キロで押した。2回からの3イニングを3者凡退で流れを離さなかった。臨機応変の余裕も生まれている。QVCマリンは強風が敵となるが、風でバランスを崩すこともあるのではと質問を受けると「自分は、いつもフォームが崩れているのであんまり気にしていません」と笑いを誘った。デビュー当初の直球の受け答えから、変化球の答えを返す成長の早さには驚く。

 田辺監督も感心した。「先制されてどうなるかと思ったが、粘り強く投げて試合を作ってくれた」。ただし無理はさせない。次週は4試合で他の先発投手で回せるため、1回登録を抹消してローテを飛ばす。勝負の終盤戦に欠かせない戦力として。【矢後洋一】

 ▼高橋光が8月9日オリックス戦から5連勝。高卒新人の5連勝以上は99年に5連勝と6連勝した松坂(西武)以来で、ドラフト制後は5人、6度目。西武では、ドラフト制以前の56年稲尾が8連勝と5連勝、56年畑が5連勝、65年池永が6連勝と5連勝しており、松坂と合わせて5人、8度目になる。高橋光は登板した5試合すべて白星の5連勝。途中に勝敗なしを挟まない高卒新人の5連勝は67年江夏(阪神=6連勝)以来となり、西武では初。