中日が70年以来、45年ぶりとなる3年連続シーズン負け越しが決まった。広島ジョンソンの前に打線が8回2死までノーヒット。ようやくの初安打と敵失で勝ち越しに成功したものの、セットアッパー又吉から逆転を許した。打線も結局1安打。ミスからの先制点を与えるなど、今季低迷の要素が凝縮されたような1敗だった。

 試合後にベンチ裏から出てきた谷繁元信兼任監督(44)は、フゥ~と大きく息を吐き出した。「集中力が切れるのか、周りが見えなくなるのか。今年はずっとそう。今年チームが苦しんでいるすべてが出た試合」。打てない、守れない、勝ちきれない…。今季を象徴するようなシーンのオンパレードだった。

 「集中力が-」と嘆いたのは5回のエルナンデスが犯したミスだ。無死一、三塁からジョンソンの投前バントをバルデスが二塁に送球して封殺。だが、ボールを受けた遊撃エルナンデスが送球しようとした際にボールをポロ…。判定はアウトだが、二塁塁審に確認している間、三塁走者の本塁生還を許した。チーム失策数は12球団ワーストの87。指揮官が掲げる「守りの野球」とは、ほど遠い状況だ。

 打線もさっぱりだった。広島ジョンソンの前に8回2死まで、まさかの無安打。2死一、三塁から杉山が左前適時打で同点とし、さらに左翼エルドレッドの送球エラーで逆転に成功した。だが、結局9イニングでチームの安打は杉山の左前打だけ。ヒット1本で勝てるほど甘くはない。

 最も落胆させたのが、1点を勝ち越した8回に送り込んだセットアッパー又吉の背信投球だ。先頭菊池に四球、続く新井の左中間への適時二塁打で同点とされ、代わった3番手岡田が2死満塁から石原に勝ち越し打を浴びてジ・エンド。救援ながら今季6敗目の又吉は「ああいう形でチームが点を取ったのに、あの1イニングで試合をつぶしてしまった」とざんげした。

 これで今季のチーム成績は55勝71敗3分け。3年連続の負け越しが決まった。球団の長い歴史の中でも2リーグ分立後は2度しかない屈辱。「それはまあ…」。“今季最悪”とも言える試合に、指揮官の言葉も力なかった。【桝井聡】

 ▼中日は今季の負け越しが決まった。仮に残り14試合に全勝しても、69勝71敗3分けで借金2に終わるため。これで、13年から3年連続の負け越し。68年(杉下茂監督)69、70年(水原茂監督)の3年連続以来、2リーグ分立後45年ぶり2度目となった。