阪神藤浪晋太郎投手(21)の粘投は白星に結びつかなかった。6回119球を投げ、3安打5四球で2失点。同点の6回裏2死満塁で代打新井を送られて降板し、ハーラーダービー単独トップの14勝目もお預けとなった。

 「序盤は全然コントロールできなくて、苦しくなってしまった。先発として、もうちょっと球数を減らして、もっと長いイニングを投げないといけなかった」

 立ち上がりは荒れた。1回は3四球で2死満塁を招きながら無失点。3回は四球から3番山田に左翼フェンス直撃の先制二塁打を許した。痛恨の被弾は4回表だ。3回裏に同点とした直後、先頭の6番雄平に甘く浮いたカットボールを右翼席に運ばれた。「自分としては痛かった」。勝負どころをわきまえた右腕らしからぬ失投。それでも2失点でなんとか試合を作った。

 初回に通算500奪三振を記録し、ノルマに掲げていたシーズン180イニングも突破。ただ、チームは痛恨の1敗。藤浪が甲子園で登板した試合のチーム連勝も11で止まった。残り10試合。もう一瞬たりとも下を向いている暇はない。

 次回以降は2パターンが候補となる。プロ初の中4日調整で26日広島戦に向かい、再び中4日で10月1日に今季無傷の4勝を誇るヤクルト戦に回るフル稼働プラン。中6日で28日巨人戦に向かい、中5日でシーズン最終戦の10月4日広島戦に回る可能性も残る。

 中西投手コーチは試合後、次回を「コンディション次第」とし、中4日については「本人は行けると言っていたけどな。(10月1日の)神宮は決戦になるからな」と含みをもたせた。今日22日の疲労状態をチェックし、ヤクルトや巨人の動向も熟慮した上で方向性を定める見込み。いずれにせよ、登板は残り2試合。大黒柱として底力を振り絞る。【佐井陽介】