エースの言葉は力強かった。ロッテ涌井秀章投手(29)は「あと5試合、全部勝って終わる」と全員の気持ちを代弁した。日本ハムに大差で勝ち4連勝。西武に代わり3位に浮上した。残り5試合を2勝3敗と1つ負け越しても、CS進出が決まる。大きな1勝にも、右腕にスキはなかった。

 当然のように7回まで投げた。6回までで5点リード。101球で降り、中4日で投げるかも知れない6日のシーズン最終戦に備える手もあった。だが、伊東監督から「万が一を考えて」と託された。その7回。クリーンアップを3者凡退。7回3安打1失点で14勝目を挙げた。「先制されてもすぐ逆転してくれて、持ち直せた」と、野手に感謝する。2回、中田に浮いたカーブを左翼席へ運ばれた。「正直、どうなるか」という不調。それでも、小刻みな援護点を追い風に修正。追加点を与えなかった。

 ペナント最終盤で鉄腕が光る。3試合連続中5日で登板。「自分だけじゃない。どうせ、あと1試合。疲れを感じる暇もない」と言い切ったが、陰で体調維持に努める。ナイター登板の前は午前2時ごろ就寝。夜更かしではない。「人間は6、7時間睡眠でいいとサイトに書いてあった。寝過ぎは良くないと」と、試合開始から逆算。本来、8時間は寝たい派だ。「試合前に眠くなる」が、体に良いと思えば我慢もできる。

 5年前、ロッテは3位から日本一へ上り詰めた。ここ10試合は8勝2敗と勢いづく。涌井は「ここに来てまとまっている。最少失点に抑えたら、点を取ってくれる」とチーム力を強調した。元祖・下克上の本領が出てきた。【古川真弥】

 ▼ロッテ○、西武●の結果、ロッテが9月3日以来の3位に浮上した。西武は69勝69敗5分けの勝率5割で全日程を終了。ロッテが残り5試合のうち2勝すれば勝率5割以上となって3位が確定する。勝率5割で並んだ場合、パ・リーグの規定では直接対決で勝ち越したロッテが上位。