投打「二刀流」で、正真正銘フル回転する。10日のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦(対ロッテ、札幌ドーム)で先発登板する予定の日本ハム大谷翔平投手(21)が、翌11日の第2戦(同)から、野手として代打待機する方針であることが分かった。先発翌日に野手で出場すれば2年ぶり、今季初めてとなる。「3冠」を獲得した投手だけではなく、代打打率3割4厘と好成績を残す打者としても暴れ回る。

 7日、札幌ドームで行われた全体練習で、サインプレーの確認のため投内連係でマウンドに上がった大谷は20分後、フリー打撃で快音を響かせた。ロッテとのCSファーストステージ開幕まで3日。「特にかわりないです。(高ぶりは)まだないですね」と平常心だが、投打ともに準備には余念がなかった。

 栗山監督はCSでの起用法について「すべては状態を見て」と話すにとどめたが、10日の初戦登板後、11日の第2戦から早くも代打待機させる方向で進めている。登板翌日に野手で出場となれば、今季初めてのケースになる。

 慎重に「二刀流起用」してきた。登板翌日の先発投手は、ベンチには入らず「早上がり」するのが一般的。登板間に野手出場する大谷であっても、“中0日”となる強行出場は避けてきた。先発翌日の2日連続出場は、1年目の13年7月に、5回2/3を投げた翌日に代打出場した例が1度だけあるが、同監督は当時「出場できるかの確認」とテストであったことを認めており、以降は必ず中1日以上の間隔を空けて起用してきた。勝てば日本シリーズ進出、負ければ敗退という大一番だった昨年のCSファイナルS第6戦(対ソフトバンク)でも、コーチ陣の意見は割れたが、ベンチ入りすらさせなかった。

 その「禁じ手」をついに解禁する。DH近藤が好調だったこともあり、今季は打者としての出場機会が減少。一方で、代打成績は23打数7安打、打率3割4厘、2本塁打と貴重な戦力であることを数字が示している。栗山監督は「ファーストSを突破しないと何も起こらない。野球ファンに対して、勝ちにいく責任がある」。本拠地で戦う2位チームとして、9年ぶりの日本一を目指す第1歩として、負けられない戦いであることは全員が自覚している。

 2勝で突破が決まる超短期決戦。大谷は「まずは初戦のことしか考えていないです」。第1戦の先発投手の出来が、ポストシーズンの行方を大きく左右する。快投でチームに勢いをつけ、その波をバットで加速させる。

 ▼日本ハム大谷が投手として登板した翌日に野手として出場したのは、1年目の13年に2度ある。7月4日ソフトバンク戦(ヤフオク)に先発し、5回2/3を6安打1失点で勝利投手。翌5日のオリックス戦(札幌ドーム)で9回に代打で登場し、空振り三振。8月9日ロッテ戦(札幌ドーム)では6回から2番手で登板し、2回1安打無失点。翌10日同戦で9回に代走で出場した。