日本ハム中田翔内野手(26)がクライマックスシリーズ(CS)突破へ、若手選手の「ガードマン」になる。8日、札幌ドームでの全体練習に参加。首脳陣から指令された特打も行った主砲は、周囲の関係者に、重圧になる言葉を掛けないよう要請。明日10日からのCSファーストステージ(S)を前に、ルーキー浅間ら後輩を無用なプレッシャーから守るべく、おとこ気を見せた。

 顔面にあふれ出る汗を拭いながら、練習を終えた中田は切実に訴えた。若手主体のチーム構成で挑むCSまで、あと2日。周囲の関係者へ、お願いした。「若い子に周りからプレッシャーを与えてほしくない。みんな集中していると思うし、浅間なんて、もう心臓がバクバクしているんちゃう?」。大舞台で感じる緊張感、怖さを知る。経験の少ない若手選手のことを思い、周囲の雑音をシャットアウトさせる行動に出た。

 チームのために、かわいい後輩の「ガードマン」になる。短期決戦を勝ち抜くために「チームが1つにならないといけない」と説く。誰が打っても、抑えても同じ。公式戦を2位で終えた今季、若い力が中心となって推進力となった。CSや、その先の日本シリーズでもフレッシュなパワーが必要。「自分の力が発揮できないようなプレッシャーを与えられたら困る。頼むわ」。先輩として、大勝負の前に周囲へ布石を打って、がっちり守る構えだ。

 全体練習では、首脳陣からの指令で特打も行った。9月以降の成績は打率2割7分5厘、3本塁打。陽岱鋼とともに打ち込む時間が必要と判断され、通常のフリー打撃と合わせて計85スイングで5本の柵越え。「(調子は)良くはない」と話すが「なるようになるんじゃない」と、気持ちは自然体だ。

 栗山監督は「選手たちが頑張って得た舞台。楽しんでやってくれたらいい」と、選手らの動きを見守った。中田が後輩へ抱く気持ちも似ている。「チャンスで足が震えたりすると思うけど、いい意味で何も考えずブンブン振ってほしい。ミスしたって責めるようなチームじゃない。ノビノビやってほしいね」。CSでの下克上へ、鍵を握りそうな若手のハートは、頼もしい4番が守る。【木下大輔】