阪神金本知憲新監督(47)が20日、就任後初めて選手たちと対面した。全体ミーティングで熱い気持ちを伝え、主力選手と「個別面談」も始めた。特にキャプテン鳥谷敬内野手(34)に「お前が変わらなければ、チームは変わらない」と告げたことを明かし、ともに打撃改造に乗り出す覚悟を示した。猛虎改革は鳥谷改革から始まる。

 金本新監督は初日から熱さ全開だったようだ。午前10時、甲子園クラブハウスに到着すると、トレーニング室に選手、スタッフ全員が集合した。

 「厳しく言うこともあると思うが…」

 そんな内容で始まったという所信表明は選手たちの胸に突き刺さったようだ。クラブハウスを後にする選手たちはことごとく「熱かったです」と口にした。約5時間、個別面談あり、グループ面談ありで、選手たちと向き合った金本監督は狙いをこう明かした。

 「厳しくするとは言いました。でも、明るくもする。(選手)個別にも話しましたけど、一番は鳥谷。お前が変わらないとチームが変わらない。すべて、数字も、実績、年齢、年数にしても、もの足りなさすぎると言った」

 最大の狙いは鳥谷だった。キャプテンとして、不動の遊撃手としてチームの顔であり続けている男に「変革」を求めた。今季は打率2割8分1厘、6本塁打、42打点。主に1番を務めたが、金本監督にすれば、鳥谷の能力からは、満足にほど遠いという。

 「彼もその気になってくれて。打撃もあの数字だから、僕も見るし、彼もぜひということだった」

 今春のキャンプに評論家として訪れた金本監督は、鳥谷はもっと長打を打てるはずとアドバイスした。あくまで強要はせず、鳥谷も自分のスタイルでシーズンに入ったが、結果的に6本塁打。指揮官となった今、打撃改造にとことん付き合う決意のようだ。

 タイガースは鳥谷が2年目だった05年以来、10年間も優勝から遠ざかっている。改革を託された金本監督は、まず、鳥谷が変わることが第1歩だと言った。「個別での話? それは監督に聞いてください」。鳥谷は多くを語らずに球場を後にしたが、この日もミーティングに出席しただけでなく、トレーニングも行ったという。猛虎鉄人の系譜を継ぐ金本監督と鳥谷。2人が猛虎改革をけん引していく。