巨人高橋由伸新監督(40)の就任会見が26日、都内ホテルで行われた。屈指の好打者が18年の現役生活に終止符を打ち、チーム再建という大きな課題に取り組む。プレーに声援を送ってくれたファンに感謝を示し、「覚悟を持ってやっていく」と誓った。全面バックアップを約束した球団は、青年監督に3年の長期契約を用意。背番号も慣れ親しんだ「24」に決まった。

 落ち着き払っていた。壇の中央に座った。少し間を置いてから言った。「今季限りで現役を引退しまして、監督を務めさせていただきます。高橋由伸です。大変重い、責任ある役割。とにかく先輩方の伝統を守りつつ、自分らしさを出しながら。覚悟を持ってまい進したい」。40歳で担う大役を真正面から受け止めた。

 飾り気の一切ない所信表明が覚悟を際立たせた。「最後の最後まで、現役でやれたと思っていた。戸惑いもあった」と素直に言った後、続けた。

 「球団も、相当の覚悟があっただろう。僕も覚悟を持って。チームは動いている。『やろう』という気持ちがあるのであれば、いい決断になる」

 未練を断ち切り監督業に専念する。偉大な先輩たちが背中を押してくれた。松井秀喜氏が「何でも協力する。頑張って」とエールをくれた。長嶋茂雄氏からは「僕は39歳で監督をやった。君にだってできる」。原辰徳氏からは「大変だけど、やってみなさい」と温かい言葉をもらい、感謝した。

 感謝はファンにも向けられた。「ドームの大きな声援が、何より力になった。東京ドームで、満員の中、プレーする。こんな幸せはない」との丁寧なあいさつを区切りとし、再建論を展開していった。「原監督は常々『勝つためには個じゃない』とおっしゃられていた。勝つために何が必要か。伝え、継承していきたい」とした上で、あえて5人の名前を挙げた。

 高橋監督 阿部、長野、坂本。菅野、内海。この辺が中心にならないと、強いチームは作れない。彼らには頑張ってもらいたい。

 ともに戦ってきた実力者たちを先導役に据える。

 球団はベストの環境を用意する。白石オーナーは「若いが、可能な限りバックアップする。伝統ある巨人軍の先頭に立ってくれるのは、高橋君しかいない」と期待し、「高橋由伸流の作り方が、必ずある。名監督に成長してくれる」と、3年契約を明かした。久保球団社長は「一番、似合う」と、監督にしては若い背番号「24」の継続を明かした。新監督は「攻守が偏ったチームでは勝てない。打てなかったことが敗因。まずは打撃。開幕まで、どうすれば一番いい結果が出るか、見極める」と誓った。巨人軍の再建。やりがいに満ちた挑戦が始まる。【宮下敬至】

 ◆監督背番号メモ 24番をつけた監督は70~72年稲尾(西鉄)以来になる。69年に現役を引退し70年から監督となった稲尾は、高橋同様にそのまま現役時代の背番号をつけて3年間指揮。4年目の73年から81番に変更した。巨人で現役時代と同じ番号をつけた監督には川上、王、長嶋がおり、川上監督は1年目の61年から64年まで16番(65年から77番)をつけ、王監督は84~88年に1番、長嶋監督は00、01年に3番で指揮した。他球団では73~78、90、91年金田監督(ロッテ=34番)78、79年広瀬監督(南海=12番)88、89年村山監督(阪神=11番)01~05年山本監督(広島=8番)らが現役時代の番号をつけている。