今季トリプルスリーを達成したヤクルト山田哲人内野手(23)は、第4戦から2試合連続で無安打に終わった。第3戦で史上初となる1試合3発をマークしたが、最後は輝きを放てなかった。

 しっかりと目に焼き付けた。山田は、ベンチからソフトバンクナインの歓喜の輪をじっと見つめた。「日本一になりたかったですけどね。ソフトバンクが強すぎました」。このシリーズ最多3本の本塁打を放った若武者も、この日は沈黙させられた。日本シリーズ版トリプルスリー、3割、3本塁打、3盗塁も、達成できなかった。

 第3戦でだれも成し遂げたことのない3打席連続本塁打を放った。しかし、その後の2試合は無安打に抑えられた。「1日で3本打ったけど、1日だけ打っても意味がない。コンスタントに毎日打たないとダメ。そういうのも分かったのは良かった」。悔しい思いは今後の糧にした。

 あと1つ、日本一には届かなかったが、悔しさと同時に充実感がこみ上げてきた。トリプルスリーを達成しリーグ優勝を果たした。「それを目標にやって来たから、1年としてはね。個人的には満足しています」。一気に球界トップの打者に駆け上がった1年だった。数々のタイトルと日本シリーズ敢闘選手賞を受賞し、山田の挑戦のシーズンが終わった。【竹内智信】