阪神が新外国人選手としてマット・ハグ内野手(30=ブルージェイズ)の獲得に乗り出していることが29日、分かった。三塁を守れる右の強打者という補強ポイントに合致した。虎を6年間支えた安打製造機マートンの退団が確実となっている今オフ、新生金本阪神の主軸として白羽の矢が立った。

 虎のスカウトレーダーが、ひそかに照準を定めていた。今季、ブルージェイズ傘下3Aバファローに所属した内野手ハグの獲得に乗り出していることが判明した。

 頭上に掲げたバットをゆらゆらと揺らす独特のフォームは、メジャー屈指の強打者ロンゴリア(レイズ)をほうふつさせる。191センチ、102キロの恵まれた体から広角に強い打球を飛ばす。まだ30歳と老け込んではおらず、金本阪神の主軸に成長できる素材だ。

 15年はブルージェイズで10試合に出場し、打率2割5分、0本塁打。メジャーでの実績は乏しいが、今季も3Aでは136試合で打率3割3分8厘、11本塁打、92打点と安定感が際立っていた。136試合で61四球を選び、65三振という数字を見ても、大崩れするタイプではなさそうだ。

 球団幹部は以前、新助っ人のイメージとして「一塁、三塁を守れる選手がいいかな」と話していた。ハグは今季3Aで一塁を68試合、三塁を62試合守っており、補強ポイントに合致している。バファローでは川崎宗則ともチームメート。明るい性格で大人気を誇るジャパニーズと接したことも、日本行きを後押しするかもしれない。

 阪神は今オフ、6年間主軸を担ったマートンの退団が確実となっている。主砲ゴメス、鳴尾浜で成長したペレスは残留する見込みだが、強打の助っ人がもう1枚欲しいところだ。現状、来季の三塁レギュラー候補には今成、新井らが名乗りをあげている。この競争に助っ人が参戦すれば、チーム力アップにつながるのは間違いない。

 もちろん、まだ交渉過程の段階だが、ハグは新助っ人の有力候補だ。今季、チーム全体の465得点はリーグ最下位の数字。若虎の成長に期待しながらも、11年ぶりのV奪回に向けて補強は欠かせない。金本新監督のもと、「変革」をスタートさせる猛虎。新たな主軸誕生の瞬間が、注目される。

 ◆マット・ハグ 1985年8月20日、米国ワシントン州ベルビュー生まれ。ケンウッド高、ワシントン大、オクラホマ州立大を経て、08年ドラフト9巡目でパイレーツと契約。12年4月7日フィリーズ戦でメジャーデビュー。12、14年はパイレーツ、15年はブルージェイズでメジャー出場。メジャー通算成績は43試合で打率2割2分6厘、0本塁打、7打点。マイナー通算は937試合で打率3割1厘、79本塁打、534打点、24盗塁。191センチ、102キロ。右投げ右打ち。