鉄人の教えで鉄腕になる! 阪神藤浪晋太郎投手(21)が2日、高知・安芸市での秋季キャンプで筋力トレーニングざんまいの1日を送った。ウエートトレ中には金本知憲監督(47)から直々の指導を受けるシーンがあった右腕。目標の200イニング超えへ、名実ともに虎のエース襲名へ、実りの秋にする。

 「ガシャコン、ガシャコン」。ドア越しに漏れる機材の音。1度、また1度と聞こえる度に、藤浪の「鉄腕化」が進んでいる。午後3時。安芸ドーム内にあるウエートトレーニング室で、右腕は約3時間にも渡って筋力強化に励んだ。右肩炎症を抱えて迎えた安芸キャンプ。テーマである肉体改造に着手した。

 「ウエートで付けた筋肉を動きに変えていけば試合にもつながると思う。自分はウエートを大事にしたいので。それでプレーも良くなっていると自分は思う。どんどんウエートをして体作りをしていきたいし、個人的にはいいことだなと思っています」

 目指すは来季の目標に掲げる「200イニング超え」。長いイニングを投げ抜くためには、当然肉体強化は欠かせない。この日の練習前の投手ミーティングでは金本監督が投手陣に「ウエートをどんどんやっていけ」と通達していた。藤浪がウエートを行っている途中には指揮官が入室。トレーニング法について鉄人直々の指導があったという。

 「動きだとかいろんなものを話して。スクワットの形とか金本さんもすごい知識を持っている方で知識をもらった。こういうふうにしたらどうだとかですね」

 午前中には、10キロのダンベルを左右それぞれの手の指先だけで持ち、20メートル歩行する新メニューを5度行った。新トレを指導した土屋明洋トレーナーは「握力強化ですね。前腕の筋力を鍛えるためで、球数が投げられる持久力のアップにつながります」と効果を話す。今季28試合登板で100球超えが24試合。120球超えも15試合を数えた右腕にとって、さらなるスタミナ強化につながる練習だ。

 さらにこの日は400メートル走も5本消化。榎田、二神らその他の投手陣が軒並み1分20秒前後でゴールする中、藤浪は最速の1分3秒でゴールイン。5本中4本で1位入選と、鉄腕化へ自らを追い込んだ。

 安芸で始まった鉄腕化への道。背番号19が、日に日に進化を続けている。【梶本長之】