こんにゃくの次は、大根だった。楽天梨田昌孝監督(62)が、今季5本塁打の中川大志内野手(25)に新トレーニングを授けた。ティーバッティングで、顔の高さまで上がったトスを大根斬りスイングで打ち抜くように指示。「体の前で打つことでスイングが鋭くなる。柔道の一本背負いのようにね。その感覚をつかんでほしかった」。おでんの串のように、芯の通った狙いがあった。

 グツグツと煮える期待感を、温かい言葉で伝えた。「彼には長打力、パンチ力がある。まずは長所を伸ばしてほしいんです」。2年連続の最下位を脱出するには、リーグ最少に終わった得点力の向上が不可欠。そのためにも、今季14試合で4番に座った右の大砲候補にブレークのきっかけをつかんでほしかった。「公式戦で2桁打つためには打撃練習の20分で30発くらい打たないと。もっと放り込んでほしい」と願う気持ちからの指導だった。

 中川は、直後のフリー打撃で大根斬りの効果を実感した。「左肘が締まって、ボールがよくつかまりました。悪いときは左脇が開いてバットのヘッドが下がるクセがある。池山コーチにも指摘されていた部分でした」と柵越えを連発する姿に、指揮官は満足げな表情だった。今日7日には紅白戦が行われ、初の采配を振る予定。実戦でも、柔らかい発想で若い選手をもり立てていく。【松本岳志】