世界一を目指す侍ジャパンがメキシコにサヨナラ勝ちし連勝を飾った。先発のエース前田健太投手(広島=27)が2回に先制を許す嫌な展開。直後に中田翔内野手(日本ハム=26)の2ランで逆転に成功、3回にも2点を加え突き放すが、メキシコのしぶとい追い上げに苦しみ、同点で9回裏へ。最後は中田がこの試合5打点目となるサヨナラ打で勝利を決めた。

 侍ジャパンの次戦は12日。ドミニカ共和国と対戦する。

日本対メキシコ 9回裏日本1死一、二塁、中田はサヨナラ右前適時打を放ち笑顔でナインとハイタッチする(撮影・加藤哉)
日本対メキシコ 9回裏日本1死一、二塁、中田はサヨナラ右前適時打を放ち笑顔でナインとハイタッチする(撮影・加藤哉)


チーム
メキシコ
日  本1X

【メ】E・ガルシア、サンチェス、ロドリゲス、カルデラ

【日】前田、西、大野、牧田、増井、沢村


【1回表】

日本先発はエース前田。先頭のメドラーノをチェンジアップで空振り三振。2番ペレスには高め直球を振らせ、連続三振を奪う。3番J・トーレスは二飛に抑え、三者凡退と上々の立ち上がり。


【1回裏】

メキシコ先発の左腕E・ガルシアに対し1番秋山は痛烈なライナーも投直。2番坂本は空振り三振。3番山田は三遊間に鋭いゴロを放つも三塁手が横っ飛びで好捕しアウト。三者凡退に終わる。


【2回表】

前田は4番R・ロペスに、初球を左翼席へ運ばれ1点を先制される。打球を見送ると「しまった」という表情でグラブを叩く。5番ドレークには打ち取った当たりを三塁内野安打とされ、6番フローレスの打席で二盗を許す。フローレスは空振り三振も7番ソーサに対し四球を与え1死一、二塁。日本にとっては嫌なムードが漂ったが、8番マシーアスは右飛、9番A・ロペスは空振り三振に仕留め1失点で切り抜ける。

2回表メキシコ無死、左越えに本塁打を放つR・ロペス(撮影・たえ見朱実)
2回表メキシコ無死、左越えに本塁打を放つR・ロペス(撮影・たえ見朱実)
2回表メキシコ無死、R・ロペスに先制の本塁打を浴び悔しそうに舌を出す前田(撮影・河野匠)
2回表メキシコ無死、R・ロペスに先制の本塁打を浴び悔しそうに舌を出す前田(撮影・河野匠)

中田2ランで侍ジャパン逆転

【2回裏】

4番中村剛は遊ゴロ。5番筒香は日本にとって初安打となる左前打で出塁。続く6番中田翔はカウント1-2からの4球目を完璧にとらえ左翼へ逆転2ラン。7番松田は死球で出塁。8番平田は投ゴロに倒れ2死二塁。9番嶋は一直に倒れる。

2回裏日本1死一塁、左越えに2点本塁打を放つ中田(撮影・河野匠)
2回裏日本1死一塁、左越えに2点本塁打を放つ中田(撮影・河野匠)

【3回表】

前田は先頭の1番メドラーノを二ゴロ、2番ペレスを中飛、J・トーレスは変化球で空振り三振。逆転した直後の守りをしっかり3人で終わらせ、メキシコに流れを渡さない。


筒香適時打、中田犠飛で侍ジャパン追加点

【3回裏】

先頭の1番秋山は巧みなバットコントロールで左前に運び出塁。2番坂本は三遊間を破る安打、左翼手が弾く間に二塁を陥れ無死二、三塁とする。3番山田は浅い右飛に倒れるが、4番中村剛は敬遠で1死満塁と追加点の絶好のチャンスを迎える。5番筒香が右前に運ぶ適時打で1点を加える。メキシコはここで2番手右腕サンチェスに交代。なおも満塁の場面で6番中田の中犠飛で4点目。7番松田は遊ゴロに終わる。

3回裏日本1死満塁、右前に適時打を放つ筒香(撮影・河野匠)
3回裏日本1死満塁、右前に適時打を放つ筒香(撮影・河野匠)

【4回表】

前田は4番R・ロペスを投ゴロ、5番ドレークを三ゴロと簡単に2死を奪うが、6番フローレスには中前打を許すと、7番ソーサには左中間を深々と破られる二塁打を打たれ2点目を失う。8番マシーアスにも三遊間を破られ2死一、三塁とされると、内野陣がナウンドへ。9番A・ロペスへの初球が暴投となり二、三塁とされるも、A・ロペスを三ゴロに仕留め、何とか最少失点で切り抜ける。

4回表メキシコ2死一塁、適時二塁打を放つソーサ(撮影・たえ見朱実)
4回表メキシコ2死一塁、適時二塁打を放つソーサ(撮影・たえ見朱実)
4回表メキシコ2死二塁、マシアスに3者連続となる安打を浴び険しい表情の前田(撮影・河野匠)
4回表メキシコ2死二塁、マシアスに3者連続となる安打を浴び険しい表情の前田(撮影・河野匠)

【4回裏】

8番平田は深い左飛、9番嶋は一ゴロ、1番秋山は右飛。三者凡退に終わる。


【5回表】

前田は先頭の1番メドラーノから空振り三振を奪う。2番ペレスを二ゴロに抑えると、3番J・トーレスからも空振り三振。3人で終わらせる。


中田適時打で侍ジャパン貴重な追加点

【5回裏】

先頭の2番坂本が左前打で出塁。3番山田は三ゴロで打者走者が入れ替わる。4番中村剛の初球で一塁走者の山田が二塁を狙うがタッチアウト。中村剛が四球で歩き、5番筒香が中前に弾き返し2死一、二塁とすると6番中田が詰まりながらも中前に落とし、貴重な追加点を挙げる。7番松田は遊ゴロに倒れる。

5回裏を終え、仁志コーチ(左)とグータッチを交わす中田(撮影・河野匠)
5回裏を終え、仁志コーチ(左)とグータッチを交わす中田(撮影・河野匠)

【6回表】

日本は2番手西勇輝(オリックス=25)が登板。嶋に替わり炭谷銀仁朗(西武=28)が9番捕手に入った。西は先頭の4番R・ロペスに左翼への二塁打を許すと、5番ドレークに右前に運ばれ連打で1点を失う。6番フローレスは遊直。7番ソーサの打席で一塁走者のドレークが二塁を狙うが、炭谷が強肩で盗塁を阻止。8番マシーアスに右翼線へ二塁打を許すが、9番A・ロペスを左飛に抑え1失点で切り抜ける。

6回表メキシコ1死一塁、ドレークの二盗を阻止する二塁手の山田。後方は遊撃手の坂本(撮影・河野匠)
6回表メキシコ1死一塁、ドレークの二盗を阻止する二塁手の山田。後方は遊撃手の坂本(撮影・河野匠)
6回表メキシコ無死、この回先頭のR・ロペスに二塁打を浴び汗をぬぐう西(撮影・河野匠)
6回表メキシコ無死、この回先頭のR・ロペスに二塁打を浴び汗をぬぐう西(撮影・河野匠)

【6回裏】

先頭の8番平田が左前打で出塁するが、バントの構えの9番炭谷は送ることができず、最後は投ゴロが併殺打となる。1番秋山が中前へ運び、2番坂本の打席で二盗に成功するが、坂本は遊ゴロに倒れる。


【7回表】

日本は3番手大野雄大(中日=27)が登板。大野は先頭の9番A・ロペスに初球を左前に運ばれると、1番メドラーノには投手の届かない場所に二塁への絶妙なセーフティーバントを決められ無死一、二塁。なおも2番ペレスの三塁寄りへのバントも内野安打となり無死満塁のピンチを迎える。3番J・トーレスの打球が遊併となる間に1点を失う。2死三塁となり、日本はここで4番手牧田和久(西武=31)が登板。牧田は4番R・ロペスを空振り三振に仕留め、ピンチを切り抜ける。

7回表を前に選手交代を告げる小久保監督(撮影・河野匠)
7回表を前に選手交代を告げる小久保監督(撮影・河野匠)
7回に日本3番手で登板した大野(撮影・河野匠)
7回に日本3番手で登板した大野(撮影・河野匠)
日本の4番手で登板する牧田(撮影・加藤哉)
日本の4番手で登板する牧田(撮影・加藤哉)

【7回裏】

メキシコは3番手右腕ロドリゲスが登板。先頭の3番山田は四球で出塁。4番中村剛は空振り三振に倒れる。5番筒香の打席で一塁走者の山田が盗塁に成功。筒香の一ゴロの間に山田は三塁へ進む。2死三塁とし、この試合4打点の6番中田が打席に。中田は四球を選び一、三塁とするが7番松田は空振り三振に倒れ得点ならず。


【8回表】

日本は5番手増井浩俊(日本ハム=31)が登板。増井は先頭の5番ドレークを遊ゴロ、6番フローレスからフォークで空振り三振。7番ソーサも投ゴロに抑える

。三者凡退に封じ嫌なムードを断つ。

日本対メキシコ 8回から5番手で登板した増井(撮影・河野匠)
日本対メキシコ 8回から5番手で登板した増井(撮影・河野匠)

【8回裏】

先頭の8番平田は二飛。9番炭谷は左手に死球を受け出塁。1番秋山は一ゴロに倒れるが、走者が二塁に進む。2死二塁としたが、2番坂本は見逃し三振に倒れる。


【9回表】

日本は6番手沢村拓一(巨人=27)が登板。先頭の8番マシーアスの打球は一塁後方へフラフラと上がる打球。山田が後ろ向きで追いつき、グラブに当てるが安打となる。9番A・ロペスには追い込みながら投前に3バントを決められ1死二塁。1番メドラーノの投前へのボテボテのゴロは炭谷がさばき、間一髪でアウトとし2死三塁。あと1人とするが2番の代打T・トーレスにしぶとく中前に運ばれ同点に。メキシコベンチはお祭り騒ぎとなる。3番J・トーレスの中前への打球は坂本がさばき遊ゴロ。

日本対メキシコ 9回表メキシコ2死三塁、沢村は代打T・トーレスに中前適時打を打たれ同点とされる(撮影・加藤哉)
日本対メキシコ 9回表メキシコ2死三塁、沢村は代打T・トーレスに中前適時打を打たれ同点とされる(撮影・加藤哉)

中田決めた!侍日本サヨナラで連勝

【9回裏】

メキシコは4番手右腕カルデラが登板。先頭の3番山田は右翼後方へ大きな当たりの二塁打。サヨナラの走者が得点圏に進む。4番中村剛は空振り三振。5番筒香は敬遠の四球で1死一、二塁となる。6番中田は初球を振り抜き左翼へ超特大ファウル。カウント3-2から右前に運び、山田が生還。苦しみながらもサヨナラ勝ちを飾った。

日本対メキシコ 9回裏日本1死一、二塁、サヨナラ打を放った中田は、両手を広げ最高の笑顔で坂本の胸に飛び込む(撮影・加藤哉)
日本対メキシコ 9回裏日本1死一、二塁、サヨナラ打を放った中田は、両手を広げ最高の笑顔で坂本の胸に飛び込む(撮影・加藤哉)

<日本オーダー>

(中)秋山翔吾(西武)

(遊)坂本勇人(巨人)

(二)山田哲人(ヤクルト)

(指)中村剛也(西武)

(左)筒香嘉智(DeNA)

(一)中田翔(日本ハム)

(三)松田宣浩(ソフトバンク)

(右)平田良介(中日)

(捕)嶋基宏(楽天)

 先発投手 前田健太(広島)

メキシコ対日本 小久保監督を激励に訪れた王貞治氏(撮影・加藤哉)
メキシコ対日本 小久保監督を激励に訪れた王貞治氏(撮影・加藤哉)

<日本メンバー>

<投手>

10 松井裕樹(楽天=19)

11 菅野智之(巨人=25)

14 則本昂大(楽天=24)

15 沢村拓一(巨人=27)

16 大谷翔平(日本ハム=21)

18 前田健太(広島=27)

19 増井浩俊(日本ハム=31)

21 西勇輝(オリックス=25)

22 大野雄大(中日=27)

24 山崎康晃(DeNA=23)

29 小川泰弘(ヤクルト=25)

30 武田翔太(ソフトバンク=22)

35 牧田和久(西武=31)

<捕手>

27 炭谷銀仁朗(西武=28)

37 嶋基宏(楽天=30)

52 中村悠平(ヤクルト=25)

<内野手>

2 今宮健太(ソフトバンク=24)

3 松田宣浩(ソフトバンク=32)

5 川端慎吾(ヤクルト=27)

6 坂本勇人(巨人=26)

9 中島卓也(日本ハム=24)

13 中田翔(日本ハム=26)

23 山田哲人(ヤクルト=23)

60 中村剛也(西武=32)

<外野手>

7 中村晃(ソフトバンク=25)

8 平田良介(中日=27)

25 筒香嘉智(DeNA=23)

55 秋山翔吾(西武=27)


【プレミア12メモ】

 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)主催で新設された国際大会で、4年に1度開催。世界ランク上位12チームが出場する。1次ラウンドは6チームずつ2組に分かれ、各組上位4チームが決勝トーナメントに進む。

【主な大会規定】

 ◆1次ラウンドは6チームがA、B各組に分かれ、総当たりで対戦。上位4チームずつが決勝トーナメントに進む。

 A組はキューバ(WBSCランク3位)、台湾(4位)、オランダ(5位)、カナダ(7位)、プエルトリコ(9位)、イタリア(11位)。B組は日本(1位)の他、米国(2位)、ドミニカ共和国(6位)、韓国(8位)、ベネズエラ(10位)、メキシコ(12位)。

 指名打者制を採用し、球数制限はなし。コールドは5回15点差、7回10点差以上で適用し、準決勝、決勝では適用しない。延長10回以降は無死一、二塁からタイブレーク制。使用球はミズノ社製(NPB統一球)