土をならせる選手を育てる。今秋から指揮を執る楽天平石洋介2軍監督(35)が意気込みを語った。今季までは1軍打撃コーチを務め、13年の日本一にも貢献。しかし14年からは2年連続最下位になるなど、球団の光と影を見つめてきた。楽天としては初の生え抜き選手の2軍監督就任。球団の期待も高い、12球団最年少の指揮官はどのような育成を行っていくのか。

 17日、秋季練習中のコボスタ宮城。穏やかな日差しの中で、平石2軍監督の口をついたのは、ダメ出しだった。10月12日の就任後、宮崎フェニックスリーグへ移動。3年ぶりに見るファームの姿に衝撃を受けた。

 平石2軍監督(以下平石) 正直びっくりしたよ。試合前の練習を引き締めたら、ほぼみんなバテた。フェニックスは試合前練習がたった1時間だよ?

 全力の走塁・守備練習を組み込むと選手の息が上がった。1軍でレギュラーを取るならば、年間143試合にプレーオフも加わる。絶対的な体力が足りないと痛感した。加えて緩慢な空気も気になった。

 平石 侍メンバーの嶋、則本、松井裕が最後のクールに来たけど、あいつらが誰よりも早くグラウンドに出る。調整組の3人がギラギラしているのに、2軍の選手はほんわかしている。2軍の雰囲気が良いというのはダメ。ガッツさん(中日小笠原2軍監督)とも話をしたんだけど、いかに競争意識を作れるかだね。

 今季は負傷者が多く、ファームの選手はほぼ無条件に試合に出られた。競争意識の欠如がプレーの雑さにもつながっていると話す。

 平石 問題だと思ったのは自分が使ったグラウンドを整備しないこと。これは精神論じゃないんだ。例えば内野で守備をして、土が荒れる。ならさなければ、次のプレーで打球が飛んできた時にイレギュラーする確率が上がる。準備を怠るとエラーが増えるってことを分かってない。良い選手ほど、それを自然とできる。当たり前が当たり前にできていない。まずはそこから直していかないと。

 原点はPL学園時代にある。全体練習でのノックは時に数本のみ。ミスはできないと、緊張感があった。練習のための練習ではなく、試合のための練習を徹底的に意識付けられてきた。

 平石 昨日できなかったことを反省して、次の日は少しでも良くなっているようにやる。毎日の積み重ね。それが自信になるし、我々も見ている。真剣にやることで「こいつ使ってやりたい」と思わせられる。使いたいと思う選手になってもらいたいよね。

 目指す監督像について、照れくさそうに話した。

 平石 選手と距離を置こうとは思わない。本音で付き合わないと。僕が若いからこそ、時には一緒に汗をかいたり、飲みに行ったりするよ。選手の本心を分かる監督になりたいよね。

 今日18日に仙台での練習は打ち上げられる。熱く、寄り添い、1軍で活躍する選手を育てる。【島根純】

 ◆平石洋介(ひらいし・ようすけ)1980年(昭55)4月23日、大分県生まれ。PL学園では3年時に主将で、松坂大輔(現ソフトバンク)擁する横浜と延長17回の死闘を繰り広げる。同志社大へ進学し、03年にトヨタ自動車入社。04年ドラフト7巡目指名され楽天入り。11年に現役引退し、12年から育成コーチ(野手担当)、2軍外野守備走塁コーチ、1軍打撃コーチ補佐などを歴任。175センチ、75キロ。左投げ左打ち。