全員で戦い抜く。広島緒方孝市監督(47)は2015年の反省を生かし、タクトを振る。その1つが調子、成績での競争だ。昨季は低迷した丸、故障もあった菊池が全試合に出場。さらに新人の野間、若武者鈴木が2軍に降格することはなかった。野手陣の1、2軍入れ替えも他球団に比べ極端に少なかった。

 「状態、調子のいい選手を使いたい。キクマルも今年のような成績なら外す。野間も鈴木誠也も。それは本人たちも分かっている」

 これまではチーム事情もあったが、今季は“聖域”はない。ただ、リーダーに変わりはなく「キクマルに田中広輔。目の色が変わった会沢。4人がキーになる」と名前を挙げて期待を寄せた。主力として絶対的な成績を残してほしいというメッセージでもある。

 接戦に弱かった昨季。指揮官はベンチで感情を出すことはほとんどなかった。選手が萎縮してはいけないと思っての行動だったが、見つめなおした。「火をおこすではないが、そういう言葉を増やしたい。激怒ではなくて叱って発奮させていきたい。選手も悔しければ叫んでほしい」。高ヘッドら参謀の手も借りる。すべては「日本一」のためだけに。【池本泰尚】