ゴルゴ秋山がタイトル、さらに優勝を射抜く-。西武秋山翔吾外野手(27)が13日、西武第2球場で自主トレを公開した。昨季、シーズン最多安打記録の216安打をマークした男は“ミスショットゼロ”を目指し、約1時間を打撃練習に費やした。黙々と打ち込む姿は、人気漫画「ゴルゴ13」の主人公で、仕事の成功率ほぼ100%のスナイパー、デューク東郷をほうふつとさせた。

 気温4度の室内練習場に、秋山の乾いた打撃音が響いた。外角へ上げられた球は左方向へ、内角へ上げられた球は右方向へ丁寧に打ち返される。打球方向を意識したトス打撃を終えると、マシン打撃を開始。1球1球、バットの芯でとらえることに集中し、打ち損じると「あ~っ」と顔をしかめた。

 「ある程度同じところに来る中で打ち損じだったり、ミスがある。もっと精度を上げないと。打ち取ろうと思っている投手は簡単には打たしてくれない」。理想は仕留めにいった球を確実に捉える、ミスショットしない打撃。今季は、相手のマークがさらに厳しくなる中で「安打」という仕事を完遂しなければならない。その姿は、どんな苦境でも99・9%を超える成功率で仕事を成し遂げるゴルゴ13に通じる。

 「13」も秋山にとっては不吉な数字ではない。プロ初安打、初打点を挙げた日本ハム戦は11年4月13日。昨季、史上6人目の200安打を達成したロッテ戦は9月13日だった。そんな節目の日に「優勝に近づくための1本が打てるかどうか。自分をしっかり律してやっていきたい」と誓った。

 軽々に目標数字を口にしない姿勢には、決して軽口をたたかないゴルゴ13の雰囲気が漂う。昨季、216安打を放ちながら逃した「首位打者奪取」も、決して公言しない。「最終的に打率がいくつ、ヒット何本という目標は、自分の考え方に合わない。(安打を)積み上げていくことをモチベーションにしたい」。

 そんな男だからこそ、田辺監督は「狙える位置にいるんだから、首位打者を“ロックオン”してほしい。それがチームの順位につながる」と期待を込める。「与えられたところで結果を出すのがプロ」と言い切った秋山。優勝という標的を仕留めるため、打ち損じない“ヒットマン”となる。【佐竹実】