ビッシビシ、ええど~。メジャー通算66発を誇る中日の新外国人ダヤン・ビシエド外野手(26=ホワイトソックス3A)が2日、キャンプ初の屋外フリー打撃で柵越え6連発を記録した。「狙っていない」のに48スイングで9本塁打とパワー全開。ネット裏や首脳陣は技術も高く評価し、バレンティンやブランコに重ねる声も出た。4番に期待される大砲が、いきなり猛デモに成功した。

 スイッチが入ったように打球の角度が変わった。初の屋外フリーの、その第1打席。11球目に「様子見は終わり」と言わんばかりにスイングを強め、左翼の芝生席にドスン。続けざまに左翼後方ネットを襲う推定130メートル弾。左中間最深部も含め、6連続で左方向にアーチを描いた。

 屋外打撃は1月29日の合同自主トレに続いて来日2度目。そのときは軽いスイングで低い打球ばかりだった。背番号66のユニホームに身を包み、本来の姿を披露した。最後の1球で「一番いい打球」と中堅フェンスを軽々と越えた。

 「本塁打は打とうとしていないよ。センター中心に飛ばす意識で、しっかりボールをコンタクトすることだけ考えた。感覚はよかったよ。6連発? 今まで(柵越えを)数えたことはない。スイングして、ああ入ったなと思うくらいだよ」。本塁打狙いでなくても面白いように打球が飛ぶ。愛称「エル・タンケ(戦車)」。文字通りに“大砲”をぶっ放した。

 他球団のスコアラー陣も大注目。阪神飯田スコアラーは「すごかったね。寒くて、本当は打撃するのもイヤなはずなのに」。ヤクルト志田スコアラーは「手が柔らかい。そのへんの雰囲気はバレンティンに似ている」と日本記録の年間60本塁打を記録した自軍の大砲の名を出した。

 見守った土井正博臨時コーチは「ものが違うよ。頭が突っ込まず軸で打てる。飛ばす力は天性。バットがスムーズに出るし、打ちにいっても止められる。ブランコみたいなイメージかな」と、うなった。現オリックスのブランコは1年目に39本塁打、110打点の2冠に輝いた大砲。同じく若い28歳で来日し、日本野球に対応して大活躍した。26歳のビシエドも来日当初のブラ砲にだぶる。

 4番打者に計算する谷繁監督も至近距離で見守り「飛ばし方を知っている。内角のさばきがうまい。教えられてできるもんじゃない」と絶賛した。ウッズ、ブランコに続くスーパー砲への期待度が最大限に引き上げられた。【柏原誠】

 ◆ダヤン・ビシエド 1989年3月10日、キューバ生まれ。19歳で米国に亡命し08年にホワイトソックスとマイナー契約。10年メジャーデビュー。メジャー通算483試合、打率2割5分4厘、66本塁打。14年にはマリナーズ岩隈から本塁打を放った。3月に第3子の男の子が誕生予定。185センチ、108キロ。右投げ右打ち。

<ビシエドのこれまで>

 ◆自信 1月24日に来日。09年にブランコがナゴヤドームの天井スピーカーに当てた認定本塁打のことを聞かれ「じゃあ僕が打ってみようか」とニヤリ。

 ◆会見で 同28日の入団会見で本塁打を看板に当てれば賞金が出る球場もあると聞き「まずは球場を見てみよう」と自信。

 ◆初屋外 同29日に北谷球場でフリー打撃。24スイングで柵越え0本も「コンタクトを意識した。いい打球もあった」と満足。

 ◆謙虚 同30日の合同自主トレは室内で打撃。大島、亀沢の打撃練習を食い入るように見つめ「(日本では)忍耐、我慢が必要と感じた」とコメント。

 ◆室内で キャンプ初日は雨のため室内。ネットを豪快にたたく打球にナインも見入った。