阪神新外国人のマット・ヘイグ内野手(30=ブルージェイズ)が9日、初の特打で上昇気配を見せた。59スイングで来日最多の柵越え19発を披露。左翼への3連発も2度あった。三塁争いはスローペースで今成や新井が目立っていたが、気温の上昇に合わせるようにギアチェンジ。

 ヘイグの低空ライナーが、何度も左翼席の芝生に突き刺さった。芯を食えばピンポン球のように飛んでいく。18度まで上がった気温に合わせるように、新助っ人の打撃が上がってきた。ゴメスと並んで初の特打を行い、59振で来日最多の柵越え19本を披露。左翼への3連発も2度マークするなど、不安を吹き飛ばす豪打ショーで宜野座を沸かせた。

 「沖縄に来て一番いい状態だよ。とてもいい練習ができている」。笑顔が何よりの手応えだ。スローペースのキャンプインで、序盤は芯を食わないこともあった。巨人007からは「構えが窮屈」と、内角に弱点ありと指摘されたこともあった。だが自ら、オマリー打撃コーチ補佐に助言を求めて構えや立ち位置などを修正。4日の金本監督と外国人との食事会では「米国ではこの時期こんなに練習してない。無理し過ぎないように」とペース維持を助言されたことにも感謝して、状態を上げてきた。

 マートンの代役と期待される男は、まじめさと日本に順応しようとする心構えも似ている。読谷村の宿舎と宜野座球場との往復80分は、通訳とのお勉強時間。「オハヨウゴザイマス」「コンバンハ」「ハジメマシテ」「イイネ」「ダメ」「イチ、ニ、サン」と日本語習得に励む。「ワタシハヘイグデス」と、来日2週間弱で自己紹介も完璧。マートンもまず日本語を覚えようとし、日本野球を知るためにこの時期から進んで実戦出場した。郷に入れば郷に従う柔軟性と研究熱心さは、成功に欠かせない大事な要素だ。

 金本監督も一安心の笑顔だ。「僕はヘッドスピードがどれだけ上がっているかしか見てない。何球かバットに乗って飛んだ打球もある。心配してないです」。

 この日のシート打撃は高橋に右飛と、榎田からはいい当たりの中直。3度の実戦形式6打席でまだ無安打だが、いつ1本出てもいい状態に仕上がってきた。打撃好調の今成や新井に後れを取った感もあった三塁争いにいよいよ本格参戦。ゴメスが出場を見送る明日11日のチーム初紅白戦にも志願参加する。打棒爆発の瞬間に期待が高まってきた。【松井清員】