「超変革」はホンモノや! 阪神金本知憲監督(47)が16日、初采配を12得点の大勝で飾った。初の対外試合となった楽天との練習試合(宜野座)。西岡の逆転2ランに始まり、陽川、横田ら“金本チルドレン”も大暴れ。4発を含む12安打の猛攻を披露。同監督が取り入れた筋力トレーニングなどの効果で、飛距離アップを実証した。視察した楽天副会長の星野仙一元監督(69)も「超変革」に太鼓判を押した。

 「そんなもんいらんわ!」。金本監督は照れ笑いを浮かべ、坂本が差し出したウイニングボールを拒否した。楽天相手の初采配は大勝。しかも、レギュラー格の西岡だけでなく、期待の若虎が大暴れした。初陣4番に抜てきしたプロ3年目の陽川が4回、2球で追い込まれた後に粘ると、10球目を仕留めて左翼弾。5回にはこちらも3年目の横田が右中間スタンドに放り込んだ。ペレスの1発を含めて4発。これ以上の好発進はない。だが監督は「練習試合ですからね。そんな采配とかオーバーに思ってないですよ」と、どこまでも冷静だった。

 これが昨年セ・リーグ最少得点に終わったチームなのか。4発の放物線は、どれも打った瞬間にそれと分かる会心の一撃。しかも12安打中9本が長打で、パンチ力が備わったことを実感させた。三塁打&二塁打の江越は「打球が強くなって飛距離が伸びている」と実感を明かす。金本監督が導入したウエートトレーニングの効果は絶大のようだ。

 昨秋キャンプからオフの宿題として与え、今キャンプでは全選手に2日に1度のウエートを義務化した。現役時代の金本監督を「鉄人」にした地獄メニューで、時には監督自らバーベルの上げ方など手本を示している。紅白戦を含めて早くも2本塁打の陽川を代表例に挙げ「体重が6キロ増えたのに30メートル走が速くなって垂直跳びの数値も上がった。使える筋肉が増えた証拠で、効果が出ると僕もうれしい」と手応えを感じている。

 楽天星野副会長も敵ながらあっぱれと認めた。「ウエートをやらせて、強く振れるようになっているのはまさにその通り。続けていけばいいんだ」。02年11月。広島からFA宣言した金本に「みんなの力で阪神を変えて、優勝しようと話し合った」と口説いたのが当時の阪神星野監督で、03年リーグ制覇の立役者となった。「俺の時もアイツが改革したようなもん」とうなずいてスコアボードを見つめ、「いい書体で“超変革”と書いてある。いい顔してたし、アイツならやってくれるやろ」と太鼓判を押した。

 だが金本監督は試合後、厳しい表情でミーティングを開催。選手に「今日は相手投手も若いし1軍ローテの投手でもない。自信を過信にしないように。主力を打って(初めて)評価するから」と言い渡した。慢心はなく、逆に空気をピリっとさせた。勝負どころで勝てなかったひ弱な虎が、どんなチームに変貌していくのか。【松井清員】

<金本監督超変革アラカルト>

 ◆筋トレデー 2日に1度の「筋トレデー」を設定。近年は9月にチーム全体が息切れする傾向を踏まえ、監督就任早々方針を定めた。各自に任せるのではなく、練習メニューに組み込んだ。

 ◆大運動会 第1クール最終日の4日に、ベテランや故障組を除く30選手が5チームに分かれ健脚を競った。13日にも選手を6班に分け、対抗戦。徒競走のBGM「クシコス・ポスト」の流れる中、場内は大いに盛り上がった。

 ◆熱血指導 チームリーダー鳥谷に、超変革を求める。昨秋の面談で直接「お前が変わらないとチームが変わらない」と伝えた。4日のフリー打撃ではバットの出し方を指導。自ら何度も手本を示し、鳥谷も真剣に聞き入った。ここ数年、阪神監督が実績十分の鳥谷に直接指導は異例のこと。