大役は7年目左腕に託された。西武菊池雄星投手(24)が、3月25日オリックス戦(西武プリンスドーム)での開幕投手に指名された。宮崎・南郷での春季キャンプ打ち上げの19日、田辺徳雄監督(49)が明かした。先発陣の柱への成長が期待される男が、V奪還への先陣を切る。

 菊池は驚きを隠せなかった。田辺監督から開幕投手を告げられたのは16日だったという。「何を言われるのかと思って…。実績もないですし、まさか僕とは思っていなかったので本当にビックリしました」と素直に明かした。

 通達日には田辺監督の期待が込められていた。「この(最終)クールの初っぱなに本人に伝えた。初日って何日だ?」とニヤリ。菊池の背番号16と同じ日付を選んだ。「彼がチームを引っ張るくらいにならないと。やってもらわないといけない投手。自覚と責任を持って、という年だから」と、うなずいた。

 期待とともに実績、相性も買われての抜てきだ。菊池のオリックス戦通算成績は7勝3敗1セーブ。開幕戦が行われる本拠地に限ると、8戦で負け知らずの4勝を挙げている。さらにローテーション上の戦略もある。開幕2カード目はソフトバンク戦。左腕に得意の相手を任せることで、エース岸を昨季の日本一チームにぶつけられる。

 この日の菊池は投球練習はせず、ランニングメニューなどで汗を流した。18日の紅白戦では、3回を2安打1失点(自責0)。最速154キロをマークするなど順調な調整を続けており、「チームに勢いがつくような投球をするために、しっかり準備したい」と表情を引き締めた。通達日に、指揮官からもう1つ告げられたのは「15勝してくれ」という言葉だった。「後輩も増えてますし、結果で引っ張っていきたい思いが強い。今年はそこ(15勝)を目指します」。覚悟を決めて、初の大舞台に臨む。【佐竹実】

 ◆西武の開幕投手メモ 過去に左腕の開幕投手は工藤だけ。工藤は88、89、92年と3度務めて1勝2敗。唯一の白星は88年南海戦で、1-0で完封勝利を記録した。現12球団で00年以降、左腕の開幕投手がいないのは西武、広島、楽天の3球団だけ。菊池が開幕投手を務めれば、左腕ではチーム24年ぶり2人目になる。