本当の自分を見せてやる! 中日ドラフト3位ルーキー木下拓哉捕手(24=トヨタ自動車)が現状を語った。打って守れる即戦力捕手として高い期待を受けるが、体力・技術ともアピール不足を実感する。沖縄・北谷キャンプも今日23日からいよいよ最終クール。開幕マスクに向けた戦いも佳境に入ってくる。

 -キャンプインから3週間。課題や収穫は

 木下 まず体力面です。キャンプがハードというのは予想通りでしたが、思ったより体がついていかない。筋肉痛がひどくて。こんなに顕著に出るとは。今は筋肉痛もだいぶなくなり、体は大丈夫です。

 -自分を出せているか

 木下 出し切れていない。まだまだ物足りない。それが現時点での実力というか…。疲れはシーズン中だともっとあるはずなので言い訳にできません。

 -先輩との差を感じる

 木下 厳しい練習で疲れたな、と思っても先輩は室内で打撃をやったり。それが当たり前なのかと。

 -先発マスクの実戦2試合で大量失点

 木下 いい勉強と言われるかもしれないが、いつまでもそう言っていられない。早くプロの打線を抑えたい。2試合とも早い回に失点し、そのあと無失点で終わっている。その意味で勉強はできている。でも失点のイメージが残っている。味方が点を取るまでは点を取られたくないです。

 -結果を求める

 木下 求めてばかりもダメだけど、それが一番のアピールになる。今のままだと「木下と組んだら点を取られる」と投手に思われてしまう。それはイヤ。とにかくゼロをつけたい。

 -リードは谷繁監督に細かく指導される

 木下 一言一言、重みがあります。今まで分かっていたことでも、プロでは抑えられないんだという発見もある。技術では基本的なことを多く言われます。あれだけの実績を残した方がそう言う。やはり基本が大切なんだと思いました。

 -打撃の方は

 木下 今のところはアピールできていません。でも…投手に手も足も出ない感じではないです。

 -リフレッシュ法は

 木下 正直、何もないです。ゲームもしないしビデオも見ない。部屋に帰ってシャワーを浴びて、夕食。捕手ミーティングが終わるのが9時半。また風呂に入ってストレッチして、11時に寝ます。寝たらすぐ朝。疲れているのでよく眠れるし睡眠は足りています。

 -ドラフト1位小笠原が同部屋

 木下 彼も部屋にいる方。そこまで気を使うヤツじゃないし、僕も使われるのがイヤなのでいいですね。

 -開幕まで1カ月

 木下 打撃も守備もアピールできていない。オープン戦が増えてくるので実戦の中で何とかしたいです。今に見ておけ…というか、早く自分自身を出したい気持ちですね。

 谷繁監督は「苦労なくして成功なし」と考える人だ。失点の責任は捕手にも負わせるが「少しずつ覚えてほしい」と親心ものぞかせる。捕球技術は1軍レベルとの評価。足りないのはやはり経験。謙虚な性格で、自信はあっても簡単には口にしない。それでも言葉の端々で手応えをにじませた。「本当の自分」を出せるであろうこれからが本当の勝負になる。【取材・構成=柏原誠】

 ◆木下拓哉(きのした・たくや)1991年(平3)12月18日、高知市生まれ。高知で2年夏、3年夏に甲子園出場。法大3年秋に東京6大学ベストナイン。トヨタ自動車では正捕手として14年の日本選手権に優勝。昨年は4番も打った。183センチ、92キロ。右投げ右打ち。推定年俸1000万円。

 ◆木下の実戦成績 14日の練習試合DeNA戦は先発で3回までに7安打5失点(投手小熊、又吉)。残り2回は1安打無失点。20日のオープン戦ロッテ戦は2回までに7安打6失点(投手若松)だったが残りの4回は浜田達を粘り強くリードするなど無失点。打撃成績は紅白戦も含めて6打席で5打数1安打1四球。