プロ野球はいよいよセ、パ両リーグが25日に開幕します。日刊スポーツ評論家陣に、今年のペナントレースを占ってもらいました。2回にわたってお届けします。第1弾はセ・リーグ編です。今年も予想される「混セ」を勝ち抜くのはどこの球団か?



宮本慎也氏 ブレない金本監督で正当競争の阪神

<1>阪神 <2>巨人 <3>ヤクルト <4>DeNA <5>広島 <6>中日

阪神金本監督
阪神金本監督

 昨年の上位4チーム(ヤクルト、巨人、阪神、広島)が戦力ダウンし、下位の2チーム(中日、DeNA)がアップ。昨年以上の混戦といっていいだろう。どのチームにも優勝の可能性があり、最下位もある中での順位付け。頭を悩ませた結果、最重要視したのは、キャンプからオープン戦までのチームの「雰囲気」だった。

 最も好感を持てたのは阪神。金本新監督のもと、やる気に満ちている。何よりもいいのは、金本監督のチーム改革に向けて取り組んでいる方針にブレがないところ。選手1人1人に対してのコメントを振り返っても的確で厳しさもある。

 真面目で実績のある鳥谷には、厳しさの中にも本人を尊重し、生え抜きのリーダーとして大切に扱う配慮もある。ゴメスや西岡ら、力はあるが目を離すと手本にならないようなプレーをする選手には、厳しいコメントの中にユーモアを交え、必要以上にやる気をなくさせないような気配りもある。開幕投手の決め方もいい。本心は藤浪に務めてもらいたいのだろうが、メッセンジャーを指名した。実績だけでなく、開幕投手に向けての意気込みやチームにおける立場を考慮し、外国人という偏見も排除した決断。自分の方針から外れたプレーをする選手には厳しく、その中で正当な競争意識を浸透させている。阪神は優勝争いをしても勝手に自滅するイメージがあるが、金本監督が醸し出している雰囲気がチームをひとつにまとめ上げている。

 これまでのセ・リーグは、強い巨人に対してどう向き合って戦っていくかがペナントの順位に直結した。しかし今季はどのチームも優勝が狙えるだけに、つぶし合いになる。上がり目の薄い巨人を2位にしたのは、各チームのマークが緩くなるからで、投手力はある。Bクラスに予想したDeNAも、今永、柴田、戸柱ら、力のあるルーキーがそろい、侮れなくなっている。


和田一浩氏 マークされるヤクルト苦戦か

<1>阪神 <2>巨人 <3>中日 <4>ヤクルト <5>広島 <6>DeNA


 昨年まで現役でプレーし、セ・リーグの各チームと戦ってきた。力関係は、よく分かっているし、評論家になって初めての順位予想は、「昨年との違いの見極め」がポイント。キャンプ、オープン戦と各チームを見てきた中で、プラスとマイナスの部分を考慮して予想してみた。

 一番変わったのは阪神だろう。練習にも緊張感がある。主力選手の高齢化や抑えの呉昇桓がいなくなり、全体的な戦力は低下。しかし、それを補うだけのプラスを感じる。練習を見ていても緊張感がある。ベテランにも闘争心を感じるし、若手にも激しい競争意識がある。未知数の新戦力にも、それなりの手応えを感じるし、チームの総合力は上がっている。優勝チームとして予想させてもらった。

 昨年の優勝チーム、ヤクルトをBクラスの4位に予想したのは、意外に思われるかもしれない。バレンティンは開幕からしばらく復帰できそうにないが、ほとんど試合に出場できなかった昨年よりは出られるだろう。戦力的な顔触れを見ればプラスが見込めるが、他の主力野手が昨年と同じ活躍をするとは思えない。開幕前までの状態を見ても、昨年同様の活躍が見込めるのは川端ぐらいだろう。

 プロの世界で好成績を残した打者が、翌年も同等の成績を残すのは至難の業。研究され、厳しくマークされる中、同様の成績を残すためには、技術やパワーの向上が不可欠。コンディションを維持する程度では、成績アップは見込めない。うまく乗り越えても、それなりの成績を残せる程度だろう。抑えのバーネットが抜けた穴を補えるだけのプラスアルファは見込めないと思っている。

 ただし、昨年戦った感触で、セ・リーグには「強い」と感じるチームはなかった。想像を超えるようなレベルアップをするチームの出現に期待したい。 


権藤博氏 勝利の方程式ある巨人評価

<1>巨人 <2>阪神 <3>ヤクルト <4>DeNA <5>中日 <6>広島


 この順位にまったく根拠はありません。ただ並べたってだけ…。それほど混戦になるということだ。1つだけ、ここに根拠があるとしたら、巨人を評価したのは、山口、マシソン、沢村の後ろがそろっている点。阪神、ヤクルトも抑えがそろえば1位もある。DeNAを4位に予想したのも山崎康がいるから。地力がある中日だが優勝かといえば「?」、広島は抑えが弱い。だれを抑えにし、いかに後ろで戦うかが、各監督にかかっている。3人入れ替わって、5人が外野手出身で、監督の味がどうでるかにも注目している。


西本聖氏 カギを握る3人の新監督

<1>巨人 <2>阪神 <3>ヤクルト <4>DeNA <5>広島 <6>中日


 新監督がカギを握る。最近、就任1年目の優勝が多い。いろんな問題が起きている巨人は、こういうときこそファンに戦う姿を見せて欲しい。高橋監督は選手と年齢が近く、ひとつにまとめることができれば総合力はある。勝負どころで弱さのあった阪神は、金本監督が厳しく変えようとしている。選手も感じている。DeNAはラミレス監督が、基本的なことができない弱さを変えようとしている。おもしろいことをしてくれるのではないか。ヤクルトは抑えがいなくなった。このところ巨人以外の連覇がないのも気になる。


篠塚和典氏 沢村がいる巨人が有利か

<1>巨人 <2>阪神 <3>ヤクルト <4>広島 <5>中日 <6>DeNA


 上位4チームはほとんど差がないのではないか。その中で、阪神は呉、ヤクルトはバーネットと、ともにクローザーが抜けた。広島も守護神がきちんと定着していない。その面では経験を積んだ沢村のいる巨人にアドバンテージがあるのではと考えた。先発陣の心配はあるものの、阿部が捕手に戻って来れば安心感が出る。開幕にいないのは痛手だが、打線に厚みをもたらすためにも、OBとしては早期復帰を願う。開幕前に悪いニュースが相次いだ巨人にとっては、いいスタートを切ることが大事。そうすれば野球に集中できる。


小宮山悟 広島福井に期待マエケンの穴

<1>広島 <2>阪神 <3>巨人 <4>DeNA <5>ヤクルト <6>中日


 広島はマエケンの穴は大きいが、希望的な観測として福井に代わりの存在になってほしい。その場合、福井の穴は新人の岡田、横山で埋まる。福井は自分をコントロールできるようになり成績が伴った。一本立ちすれば、打線がルナの加入で昨年のような惨状はないからおもしろい。阪神は投手陣の質が高くキャンプでもほれぼれした。巨人はマイコラスの復帰時期でDeNAとの入れ違いはある。DeNAは投手陣が形になってきた。5年前とは大違い。ヤクルトはバーネットとロマンの穴が大きく、中日は若手が伸び悩んでいる。


佐々木主浩氏 チーム内競争できる巨人

<1>巨人 <2>ヤクルト <3>阪神 <4>DeNA <5>広島 <6>中日


 巨人はチーム内競争ができてきた。三塁も外野も。阿部が復調して捕手ができればバランスがとれ、6番に入ったら怖い。あとは1、2番をどう固定するか。立岡、長野、大田、亀井、新人の争いがおもしろい。ヤクルトはバーネットの抜けた穴は大きい。バレンティンが戻って打線のバランスがどうなるか。阪神は球児が計算できれば投手陣はそろっている。4位以下は難しい。DeNAは連敗を止められる絶対エースがいない。抑えの山崎康もスタミナ面が心配。広島はマエケンの穴が大きいし大瀬良のケガも痛い。中日は補強不足だろう。


緒方耕一氏 外国人戦力減点少ない巨人

<1>巨人 <2>阪神 <3>ヤクルト <4>中日 <5>広島 <6>DeNA


 軸を担っていた外国人選手が、これほどいなくなった年は珍しい。ヤクルトはバーネット。阪神はマートンと呉昇桓。ルナは中日から広島に移り、DeNAは堅実なバルディリスが抜けた。彼らの穴を補えるか否か、つまり、新外国人選手の活躍が例年以上に順位に直結するとみる。特にヤクルトと阪神は、助っ人の比重が高かった。依存度と新外国人の状態を比較し、戦力に減点の少ない巨人を1位とした。中日はビシエド次第でAクラスも。順位の大前提は、投手を中心としたセンターラインの強度にあることも付記しておく。


里崎智也氏 戦力ダウンほぼない巨人

<1>巨人 <2>ヤクルト <3>阪神 <4>DeNA <5>広島 <6>中日


 巨人はクルーズの加入が大きい。内野ならどこでも高いレベルで守れるから、他の選手の使い方に幅ができる。昨年からの戦力ダウンはほぼなく、優勝候補の筆頭だ。

 ヤクルトは優勝の原動力だった外国人3投手による勝利の方程式のうち2人が抜けた。新外国人が不透明な分、2位に予想した。台風の目となる可能性があるのはDeNAだ。今永と熊原のドラフト1、2位コンビが、どれだけの活躍を見せるか。また、新加入の選手と梶谷でセンターラインを固めることができれば、Aクラスも見えてくるのではないか。


昨年順位おさらい

<1>ヤクルト 76勝65敗2分け 574得点518失点

          1.5ゲーム差

<2>巨人   75勝67敗1分け 489得点443失点

          4.5ゲーム差

<3>阪神   70勝71敗2分け 465得点550失点

          0.5ゲーム差

<4>広島   69勝71敗3分け 506得点474失点

          6.5ゲーム差

<5>中日   62勝77敗4分け 473得点504失点

          1.5ゲーム差

<6>DeNA 62勝80敗1分け 508得点598失点