阪神ドリスが来日初勝利を挙げた。7回に5点差を追いついた直後の8回に登板。1四球は与えたが、マルチ安打のロペスと倉本の2人を三振と遊ゴロに打ち取るなど、最速154キロのストレートを武器に1回を無安打無失点で切り抜けた。

 「いつも通り投げたよ。絶対に抑えてやろうという気持ちでね」。直後の8回裏、大和の逆転打で舞い込んだ白星には「ムチョいいね!」ととびきりの笑顔。母国の公用語であるスペイン語の「とても」という意味をもつ「ムチョ」を織り交ぜたドリス節も冴えわたった。

 ところが…。記念の勝利球が手元にない。いたずらっぽく笑ったのは9回を締めたマテオだった。「自分がセーブを挙げたボールだ。あげないよ」。思わぬ“強奪”に、ドリスも苦笑い。仲のいいドミニカンコンビだからこその、ほほえましいじゃれ合いだ。金本監督は「安心して見ています」と絶賛。ますます信頼を高めた快投になった。【山川智之】