今季初先発のロッテ唐川侑己投手(26)が、相手エースの金子と高レベルの投手戦を演じた。

 強い雨が降り続き、足もとが緩い中での投球。「立ち上がりスッと入れたのが良かった」と最速146キロの直球で押した。カーブのブレーキ、カットボールの鋭利さも申し分なく、制球と両立させた。

 悪条件で高い技術が際立った。美しい軸を作り、下半身から指先まで順序よく力を伝えた。「直球の質を上げるつもりで昨秋からやっている。やっている事が出せた。テーマ通り。道中は腕を下げたり、いろいろと。体の使い方が良くなっている。スピードは体の使い方」。力任せに腕を振るのではなく、振られているようなスムーズさが際立った。金子のフォームもさすがの美しさで、制球が抜群。ぬれながらでも観戦する価値が十分にある投げ合いだった。

 体重を5キロ増やした。「スピードに反応して、体の刺激、衝撃が強くなる」と、理にかなった増量を強調した。2回、T-岡田に喫したソロは初球のカーブで「球種の選択。キャッチャー(吉田)と話しました」と反省し、「心身のいい準備をしっかりして次につなげたい」と締めた。

 伊東監督は「見事なピッチングをしてくれた」と唐川を褒めた。試合前は「後先を考えず、どんどん自分のボールを投げ込んでくれ」と送り出していた。「コントロールにテンポ。真っすぐもキレがいい。久しぶりに見た。手ごたえをつかんだと思う」と、期待通りの7回2失点を評価。「十分、次も期待できる。先発でやっていける」とつなげた。涌井、スタンリッジ、石川に唐川。右の実力者4枚がローテで安定稼働すれば、安定した戦いを展開できる。