一発回答-。しかも、今季初の1試合2本塁打で別格の存在感を示した。右脇腹の肉離れから復帰したDeNA筒香嘉智外野手(24)が一振りで捉えた。1点を追う2回の第1打席。中日先発の佐藤の前に仁王立ちした。初対戦のルーキー右腕の球筋を4球見送って確認した。カウント2-2からの5球目。シュート回転して甘く入った144キロ直球にバットを添えた。そして、体幹を一気に回転させて押し込んだ。弾丸ライナーで右中間席に突き刺す9号ソロ。規格外の1発で格の違いを誇示した。

 復帰後のファーストスイング弾に続き、9回には中日の5番手福谷の抜けたフォークを右翼席上段へ運んだ。今度は大きな放物線を描いたが、敗色濃厚の展開に「どうしたら勝てるか。負けているし、勝たなければ意味がない。勝てる試合を作りたいので、打った、打てないで一喜一憂はしない」と口を一文字に結んだ。3年連続の2ケタに到達する10号ソロも淡々と振り返るに終始した。

 主砲としてよりも、主将としてグラウンドに立っている。右脇腹を負傷した4月28日の中日戦の翌日、病院での診断は「軽度の肉離れ」だった。首脳陣は最短での復帰を視野に入れ登録抹消を決断。だが同日、筒香は試合が行われる甲子園にいた。出場を志願するも今後の戦いを見据えればチームは許すわけにはいかない。「悔しい。チームに迷惑をかけている。1日でも早くしかない」と、もどかしさしかなかった。

 宣言通り、最短で帰ってきた。初戦できっちり仕事をやってのけた。ラミレス監督も「そこまで(2本塁打)期待はしていなかったが、彼にとって本当にいいカムバックになった」と両手を広げて迎え入れた。ようやくそろった「梶谷-筒香-ロペス」の主軸で1敗。次戦につながる1敗だと信じたい。【為田聡史】