768日ぶり勝利で首位固めじゃ! 広島九里亜蓮投手(24)が6回4安打2失点で、14年4月19日DeNA戦(横浜)以来の白星を手にした。気迫を前面に出す、強気な投球で巨人打線を消沈させた。次々にニューヒーローが現れる好循環。チームは、昨年8月以来の巨人戦3連戦3連勝。ついに、セ・リーグの貯金を独占した。

 またまた孝行息子が現れた。3年目の九里亜蓮だ。1回に先制点を取られても、巨人打線を相手に腕を振った。6回2失点の熱投。手にした768日ぶりの白星が、チームを今季最長タイの4連勝に導いた。

 「1年目はひたすら勝ちに貪欲で、気持ちに焦りがあった。今年は気持ちも落ち着いて、自分の持っているものを出すだけ。それがチームの勝ちにつながるようにと思っている」

 先発生き残りをかけたマウンドで成長を示した。立ち上がりにつまずくも、2回以降は立ち直った。同点に追い付かれた6回も、勝ち越しは許さなかった。

 「フーッ」。1球投げる度に鼻から吸った息を口から吐く。メンタリストDaiGoの著書を読み、投球につなげた。「舞い上がっているときは視野が狭くなる」と、スタンドに視線を送り冷静さを取り戻した。

 冷静を保ちつつ、マウンドでは叫び、そして拳を握った。派手なガッツポーズは文化の異なる外国人選手の怒りを買うことがある。実際に今季、打席からにらまれたことが何度もあった。「そんなのは関係ない。気持ちで負けたら負け。やるか、やられるかです」。たとえ屈強な大砲ににらまれても、目線をそらさない。負けん気の強さが熱投につながった。

 1年目の14年に初先発初勝利を含む2勝も、昨季は1軍7試合登板で0勝に終わった。「ふがいない1年」を経て、今年1月は海外自主トレでベテラン黒田に師事。アドバイスされた左手の使い方を修正したことが復活勝利につながった。

 よみがえった右腕に導かれ、チームは昨季8月9日以来の巨人戦3連戦3連勝。緒方監督は「先発としての役割を果たしてくれた。合格点です。今日は腕を振っていた」と拍手を送った。若手が台頭し、チームも成長する。気が付けば、リーグの貯金を広島が独り占めしている。【前原淳】

 ▼広島が4連勝。14年以来2度目となるセ・リーグ首位で交流戦を迎えることが決まった。今季通算28勝21敗1分けの貯金7。貯金1だった巨人を下し、勝率5割だった阪神も敗れ、広島がセ・リーグ唯一の勝ち越し球団となった。セで貯金独占は今年4月1日の巨人以来。広島では開幕2連勝した14年3月29日以来だが、開幕3戦目以降では88年5月25日以来28年ぶり。阿南監督が率いた同年は7月まで首位だったが、最終的には3位に終わった。