特別な年の、特別な街での戦い。日本ハムは、北海道新幹線カラーの限定ユニホーム着用最終戦に延長11回の末、敗れた。栗山英樹監督(55)の口は、重かった。「こういう試合で勝てなくて、申し訳ない」。10勝8敗1分け。同ユニホーム着用試合は勝ち越したが、函館で有終の美を飾ることはできなかった。

 19選手を起用する総力戦。ベンチに大谷の姿はなかった。札幌ドームでの24日の対戦から、移動日を挟んで2試合の変則日程。「どこで(野手と投手を)切るか。(気持ちを)行ったり来たりさせたくない」と話していた指揮官は、今季初めて、登板まで3日前での打者起用を断念した。

 1回に田中賢の右前適時打で先制。その後、8回2死二、三塁で中田が空振り三振を喫したように、あと1本が出なかった。指揮官は「あれだけ好機をつぶせば、流れが向こうにいく」。野手出場10試合連続安打中の大谷を欠いた打線は、2回以降「0」を並べた。

 試合前、栗山監督は函館市内にある故久慈次郎氏の墓に足を運んだ。練習後、試合開始までのわずかな時間を利用。沢村栄治、スタルヒン両氏らとともに日本代表入りし、その後、函館太洋倶楽部で活躍。北海道野球史に大きく貢献した偉人に、手を合わせ、心で対話したが、勝利の報を届けることはできなかった。

 24日を含め、連勝すれば2位浮上だった今カードに連敗。栗山監督は「連敗はしないようにしないといけなかった」。「WE LOVE HOKKAIDOシリーズ」最終戦で、昨季は雨天中止のため、2年ぶりとなった函館開催。海風は、冷たかった。【本間翼】