阪神金本監督が、不振の鳥谷を1番でサプライズ起用した。8番に下げた5試合も17打数3安打と上向かなかったが、驚きの逆昇格。そこには、復活を待ちわびる願いがこもっていた。

 金本監督 状態が良かろうが悪かろうが関係なしにね。やってもらわんと困る選手だから。巨人戦だし交流戦前の最後の追い込み。1番の真っさらなバッターボックスで1からやってみろという思いを込めてね。

 前日も試合前の神宮室内で、開幕後初めてとなる本格的な打撃指導を行った。「右肩より先にグリップを出せ」など、自らスイングを示して約15分間の熱血アドバイス。背番号1の復活なくしてチームも浮上しないとの考えからで、8番で起用した意図も明かした。

 金本監督 自分ではい上がってくるしかない。工夫して練習してはい上がるしかない。でも手助けはいくらでもするし8番も手助けの1つ。ノンプレッシャーで自分の好きなように試してみろとね。でも上がってこないから、真っさらな1番でと。今日はある意味、岩貞とトリと心中。それはトリにも分かってほしい。

 昨年も最も多く打席に立った“原点の打順”は、4月30日以来21試合ぶり。ボテボテの内野安打1本と四球を選んだが、すぐに結果は出なかった。打順は関係ないかと問われた鳥谷は、「はい」とだけコメント。だが岩貞の話題には「それが一番じゃないですか」と主将の顔でたたえた。もちろん、監督の切実な思いは痛いほど伝わっている。恩返しの復活を1試合でも早く届けたい。【松井清員】