東大から12年ぶりにベストナインが選出された。桐生祥汰二塁手(4年=西)が、東京6大学リーグ4位タイの打率3割3分3厘で、同大では04年秋の太田鉄也外野手以来の選出となった。

 桐生は恐縮しきりだった。リーグ4位タイの打率3割3分3厘で、東大から23季ぶりのベストナイン。「ビックリです。実力と見合っていないし、自分がもらっていいのか…」。170センチの小柄なリードオフマンは、最後まで謙虚だった。

 右手人さし指の骨にひびが入っても、グラウンドに立ち続けた。今月8日の立大2回戦で犠打を試みた際に負傷。鎮痛剤を飲み、テーピングで処置したが「実は、すごく痛かった」。治療に通いながら練習し、試合後にスーツに着替えて就職活動した日もあった。浜田一志監督(51)も「彼はファイター。ベストナインは喜ばしい」と目を細めた。

 昨秋まで無安打だった。今春の開幕戦もベンチスタート。チーム1の50メートル6秒2の俊足を生かす方法を考えた。「甘い直球を狙って、とにかくゴロを打つ。欲張らなかったのも良かった」。8試合連続を含む10試合でヒットを放ち、リーグ1位タイの7盗塁。守備でも失策は1つだけだった。

 高3夏から1日10時間以上の猛勉強で、現役で赤門をくぐった。「模試で(合格の可能性を示す)A判定が1度もなくて、合格発表で10回くらい見直した」と振り返る。本格的な野球は秋で最後。「勝ち点を取って、最下位を脱出したい」。不可能はないことを証明してみせる。【鹿野雄太】

 ◆桐生祥汰(きりゅう・しょうた)1994年(平6)10月26日、東京・新宿区生まれ。小1から柏木バファローズで軟式野球を始める。西新宿中では武蔵府中シニアに所属。西高では1年夏から二塁手でレギュラー。東大では2年秋にリーグ戦初出場。170センチ、69キロ。右投げ右打ち。