野球は慎之助の最高の「アモーレ」です! 巨人阿部慎之助捕手(37)が「日本生命セ・パ交流戦」日本ハム戦で決勝弾を放ち、チームも2年ぶり6連勝で2週間ぶりに首位に返り咲いた。同点の6回1死、特大の1発を右翼席に運び、登板過多の守護神沢村らを温存した状況下を救った。右肩痛で約2カ月の出遅れも存在感は抜群。大好きな野球に愛される主砲が、チームを勝利の女神と相思相愛にさせる。

 男らしい1発だった。6回1死。「1、2打席目は消極的だった」と初球から仕掛けて振る。ファウルも「スイッチが入った」と“求愛”は積極的にと思い起こす。カウント1-1。谷元の真ん中144キロ直球に出会えた。失投という“恋人”をフルスイングで口説く。弾丸ライナーを右翼席上段にぶち込んだ。巨人ファンをメロメロにさせる決勝アーチだった。

 試合後、お立ち台では「最高です!」の決めゼリフ3連発も、舞台裏では新フレーズに笑った。「野球は…アモーレです」。サッカー日本代表DF長友が女優平愛梨との交際で発言した「アモーレ(愛する人)」がブームになりつつある。この単語を報道陣に聞かれてビビッと反応した。

 野球を愛している。右肩痛で1軍から離れるほど、思いは強くなった。2軍練習が始まる前の午前8時からバットを振る日々もあった。「お酒に逃げたくなる時だって、ありますよ。でも、今は逃げない。グッとこらえて。大人になったでしょ(笑い)」。ダンディーに野球と向き合った。

 愛するからこそ、運命に導かれる。8回の守備。約1年ぶり登板の西村が陽にシュートで死球を与える。一塁手として孤高のマウンドに寄った。「シュートはお前の持ち球。投げるのを怖がってもしょうがない」。1死満塁、矢野に対しての内角シュートが、一ゴロとなり自らさばいた。「運命を感じたよ。たまたまか(笑い)」。右肩の完調まで一塁を守る“元女房役”が、勝利との破局危機を回避させた。

 最終回はベンチで恋い焦がれていた。2死となり、立ち上がってバットも持たずにエア素振りを始めた。「日ハムの左バッターがみんな同じ素振りをするからなんでだろう? と思って。ふざけていたわけではないよ(笑い)」。打撃をもっと知りたい。勝利をもっと味わいたい。最高のアモーレ、野球のために阿部が身をささげる。【広重竜太郎】