甲子園でこんな寂しい試合はもう見たくない。阪神は「日本生命セ・パ交流戦」オリックス戦に3安打で完敗した。新井の犠飛による1点だけでは投手陣もしんどい。先発青柳は5回無失点と奮闘も6回以降の救援陣が崩れた。3番手マテオは6回の窮地を救えず同点。8回は31試合目登板の左腕高橋がT-岡田に勝ち越し弾を浴びた。得点力不足が悪循環になっている。

 4点ビハインドの9回、藤川の名前がコールされると甲子園がどよめいた。これまでほぼ勝ちパターンでしか登板のなかった元守護神が敗戦処理…。チームの苦境を象徴していた。

 最後の打者原を最速149キロの真っすぐで二飛に打ち取るなど意地の3人斬りを果たすも、笑顔はない。「ゲームの中のところなので個人的には何もない」。多くを語ることはなかった。

 勝利の方程式が必勝リレーでなくなってきた。1点リードの6回2死一、二塁のピンチで復帰登板したマテオが、あっさりモレルに同点打を献上。守護神降格とも思える最も浅い回での登板だったが、続く7回も2四球でピンチを招くなど危なかった。そして8回はチーム最多31試合登板の高橋がT-岡田の勝ち越しソロなど4失点で沈み、FA移籍後初黒星を喫した。

 だが金本監督が投手陣に敗因を求めることはなかった。「3安打じゃどうしようもないね」。火曜から始まる6連戦先発の能見とこの日の青柳が5回で降板。その影響で高橋と藤川が連投になるしわ寄せが来ていた。何より、勝ちパターンを連日駆使するほど接戦になる元凶は、貧打にあると見ていた。

 「若い選手を含めて能力はあると思うけど、力みとか(相手の)配球とかなのかな」。前日初昇格した中谷の7番など、左腕松葉対策で右の野手5人をスタメンに並べた。だが奪った得点は、今季初めて先発三塁で5番起用した新井の犠飛1点だけで終わった。

 「ホームランもしばらく出てないんかね。打つ方が打たないと景気はつかない」。8回、T-岡田のソロで試合を決められたが、自軍は今季最長の11試合連続ノーアーチ。交流戦14試合のチーム打率2割2分5厘も両リーグ11位。1試合平均得点も2・5どまりでは監督のため息も深くなる。

 前日、「青柳が勝ち投手になれるように野手陣がフォローしてほしい」と願っていた打線はこの日も奮起せず。オリックスも低迷していただけに、勝ちたかったと問われると「それはそうですよ。そらいつでも勝ちたいですよ」と厳しい表情で答えるしかなかった。再び借金は4。勝利の方程式が不安定な上、打線も沈んだ現状で、明日17日からはパ・リーグ首位のソフトバンク3連戦が控える。まずは今日、何としてもオリックスに勝っておかないと、大変なことになるかもしれない。【松井清員】

 ▼阪神は3日西武戦から11試合連続本塁打ゼロ。2日楽天戦5回に鳥谷が放った後、延べ433人がアーチなし。2リーグ分立後最長は12年の15試合で、55年と12年の各12試合に次ぎワースト4位となった。球団最長は1リーグ時代の41年41試合。

 ▼今回11試合中の得点圏打率は1割8分5厘(92打数17安打)で、それ以外での2割5分2厘から悪化。また試合数を上回る12併殺打を記録しており(期間以前は56試合で38併殺打)、本塁打ゼロによる得点力ダウンに拍車をかけている。