阪神福留孝介外野手(39)が日本人選手史上6人目の日米通算2000安打を達成した。大台にあと2安打で臨んだ広島11回戦(マツダスタジアム)で4回の第2打席に二塁打。6回の第3打席で二塁内野安打を放った。金字塔を打ち立てた福留は、日刊スポーツに独占手記を寄せ、第一線で戦い続けてきた野球人生を振り返り、阪神への思いを語った。

 2000安打。正直、ピンと来ないですね。ただ、ここまで長いこと野球やらせてもらわないとできない。長い間、野球をやらせてもらっているということに感謝したい。1年で打てるかと言えばそうではない。それが意義のあること。それがうれしい。

 中日に入団して星野監督、山田監督、落合監督のもとでプレーした。自分の中で「勉強をいっぱいしたな」という思いがある。ゲームに出るためにショートをやっていても試合に出られない。正直、そう思った。ゲームに出るために何かをしないといけない。パ・リーグと違ってDHがあるわけじゃない。そう思ったら外野手になるというのは1つのきっかけだった。

 落合監督は派手さはない、魅せる野球ではないけれど、勝つことにトコトンこだわった。チームが勝つんだったら(走者が三塁にいるケースで)ゴロを打ってアウトになって三塁走者がかえってくればそれでいい。そうすればチームに点が入る。それもそうだな、と思った。三振や内野フライを打ち上げて走者がかえってこないよりも、ゴロで走者がかえってきて1点。そしたらチームも勝てるだろって。そういう野球だった。

 監督、コーチが変わった。チームが変わった。チームの状況が変わった。いろんなタイミングがあった。順調だったなんて自分では思わないけど、出会いに恵まれていたというのは間違いない。そのタイミングにうまく合った。だからこういう数字も付いてきてくれたのかなと思う。

 自分の状態だって変わる。毎年、同じことが出来れば苦しまなくていい。でも年齢は重ねる。身体も変わってくる。そこをある程度見ながら微調整をする。たぶん、それはずっと続く。自分が野球をやめてからも、あの時こうしていたら良かったなと思うんじゃないかな。だから2000安打を打っても、何をしようが自分のバッティングというのは完成しない。

 アメリカから帰るとなったときに「いの一番」に声を掛けてくれたのはタイガースだった。自分が悩んでる中でもずっと声を掛けてくれた。「阪神は難しい球団」とも言われた。ただ、それは自分で判断すること。やっぱり少しでも必要としてくれる。そういう場所でプレーをすることってすごく生きがいだと思う。ここに行くべきだと思った。みんながどう思ってるか分からないけど、タイガースファンは楽しい。初めはケガもあっていろいろと言われることもあったけど、それは覚悟していた。言われて当たり前の成績だった。

 このチームで絶対に優勝したい。自分もうれしいだろうし、タイガースは05年から優勝していないわけだから、それを知ってる選手は少ない。それをすることで、どれだけ自信を得ることができるか。今年は若い選手がこれだけ出てきて、その選手たちも優勝を経験すること、タイトルを取ることで変わる。今の状況をというのをしっかり受け止めて、これを乗り越えて行かないと。優勝すれば、たくさん喜んでもらえる。これだけのタイガースファンがいるわけだから。(阪神タイガース外野手)