ソフトバンク東浜が1球の怖さを知った。2点リードで迎えた7回。楽天の先頭ウィーラーに左翼席に運ばれ、代打枡田に逆転2ランを食らった。

 打たれたのは、いずれも直球。失投だった。まさかの3失点。開幕からの連勝は「5」でストップ、今季初黒星を喫した。「7回がすべてです。勝負にいって、打たれている。力不足。負けたのは、僕の責任かな、と思う」。冷静な語り口に、悔しさがにじんでいた。チームの楽天戦連勝も7で止まった。

 巨人菅野や涌井ら他球団のエース級を連破し、著しく成長していた。この日も4四球を与えたが、要所でボールを低めに集めた。6回までたった1安打。投球フォームのバランスを投げながら修正したかに見えた。「最後に力尽きた。1球で勝ち負けが変わる。この投球を無駄にしないようにしたい」。今季は9度の先発で、6、7回の途中で降板する試合が4度。中盤以降の投球が課題の1つでもある。

 工藤監督はあえて厳しく言った。「疲れじゃないよ! 自分の中で守りに入る。腕を振るよりも、コントロールを優先して、甘くなって打たれる。成長しないと、自分に勝ち星が入らない。初心忘るべからずだ」。捕手めがけて全力で腕を振ったから、5連勝があった。原点回帰を説き、愛弟子にさらなる飛躍を求めた。【田口真一郎】