夏もカープの季節じゃけん。広島がヤクルトに逆転勝ちし、94年以来22年ぶりの10連勝を飾った。3回、田中広輔内野手(26)が同点の7号ソロ。4回は新井貴浩内野手(39)の勝ち越し打など4連打で突き放した。野村祐輔投手(27)はハーラー単独トップを守る9勝目。「神ってる」男たちは、連続日本一になった80年以来となる2位に9ゲーム差をつける快進撃で、25年ぶりVへ突き進む。

 1点のビハインドなど、「神ってる」広島には痛くもかゆくもなかったのかもしれない。3回に田中の1発で同点に追いつくと、4回は4連打で一気に2点を勝ち越した。連勝の勢いそのままに試合の主導権を奪うと、22年ぶりの10連勝をつかみ取った。

 序盤はヤクルト先発のサブマリン山中に苦しめられた。3回2死まで無安打。だが、ふた回り目で目覚めた。3回2死から田中の同点7号を号砲に、4回に試合の流れを変えた。ルナ、鈴木の連打で無死一、三塁とし、新井は「追い込まれていたので、コンパクトにコンパクトに」と内角真っすぐを左前へ勝ち越し打。さらに松山も続いた。4連打の間、2度、一塁走者がスタートを切るランエンドヒットが攻撃に躍動感を与えた。

 前回対戦で5回12安打8得点の山中に対しても、対策を怠らなかった。リーグ戦再開前の23日全体練習で、仮想サブマリンで石井打撃コーチと迎打撃コーチ補佐が下手投げで打撃投手を務めた。2カード先の戦いを見据えた首位球団らしい準備が実を結んだ。

 白星を重ねながら、チームは成長。緒方監督は「接戦で勝ち切れていることが大きいし、その中でも投手を含めた守りができているのも大きい」と目を細める。10連勝のうち、8勝が2点差以内。6勝が逆転勝利。僅差も、不利な情勢も、ものにする。反発力は本物だ。

 10連勝で2位巨人に今季最大の9ゲーム差をつけて首位を快走する。それでも緒方監督は「全然、全然。また明日、我々の野球をやるだけです」と引き締め、新井も「全力で明日の試合に向けて準備していかないといけない」といっそう緊張感を高める。25年ぶりのリーグ制覇へ、若き広島は成長の歩みを止めない。【前原淳】

 ▼広島が14日西武戦から10連勝。広島の10連勝は94年8月21日~9月2日以来22年ぶりで、球団史上5度目。これで2位巨人とは9ゲーム差に開いた。2位に9ゲーム差は今季の両リーグ最大。広島が2位に9ゲーム以上の大差をつけたのは、古葉監督時代に球団史上唯一の連続日本一になった80年以来になる。

 ◆広島の過去の大型連勝 10連勝以上は94年以来5度目。94年は8月21日から9月2日まで10連勝。4位から2位まで順位を上げたが、9月23日から5連敗で優勝争いから脱落。10月8日、巨人と中日が史上初の最終日同率決戦となり、巨人が優勝。広島は3位だった。ちなみに、巨人が最大11・5ゲーム差を覆して優勝し「メークドラマ」と呼ばれた96年、広島は9連勝しているが3位に終わっている。