連敗脱出は地元期待の男がキーマンだった。54年ぶりに沖縄で開催されたパ・リーグ公式戦で注目のルーキーが光った。1番中堅でスタメン出場したオリックスのドラフト3位の大城滉二内野手(23)だ。3回1死一、三塁の先制チャンスで左翼へ犠飛。スタンドから沖縄独特の「指笛」が止まらない。その後も犠打、四球と安打はなかったが、連敗を6で止めた試合で目立った。

 「あそこは得点が欲しい場面だったので走者をかえすことだけを考えていました。たくさん声援も受けたし、よかったです!」

 沖縄の興南高出身。立大から入団した昨年12月の会見で早々と「6月の那覇の試合で1軍にいたい」と願っていた。その夢を見事に実現させただけでなく勝利に貢献した。沖縄入りした前夜は祖父宅に家族で集まり、本場の沖縄そばを食べてリラックス。スタンドに詰め掛けた親族らの応援も受けて奮闘だ。

 この日はオリックス福良監督の56回目の誕生日だった。試合前には報道陣から星形のケーキを贈られた。笑顔でロウソクを吹き消し「1つトシを取っても何も変わらないけどね」と照れ笑いを浮かべていた。試合後は、ケーキ以上にうれしい白星を手に入れ「大城は地元でよかったじゃない。まあ大城だけでなく奥浪とか若月とか。若いのが出てくれば」と指揮官。まだ借金18と苦しい状況に変わりはないが最下位に沈む流れを沖縄から変えたい。【高原寿夫】